Oncofetal Antigen-I(OFA-I)の妊婦末梢血リンパ球反応に及ぼす効果
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概要
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メラノーマ細胞膜抗原であるOFA-Iは、胎児脳組織にも存在し、かつその高い抗原性のために、妊婦血中に高率に対応抗体の出現することが報告されている。今回、メラノーマ14株細胞のcrudemem-brane preparationより、embryonal carcinoma患者腹水の高力価抗OFA抗体を用いたaffinity column chromatographyにてOFA-Iを精製し、このOFA-Iが妊婦末梢血リンパ球によるPHA芽球化反応、夫婦間リンパ球混合培養反応、およびPWM刺激リンパ球免疫グロブリン産生反応にどのような影響を及ぼすかについて解析した。1.PHA芽球化反応において、OFA-I 0.01〜60μg/ml添加濃度では反応に有意の変化はなく、3μg/ml濃度で軽度の反応促進を観察した。2.夫婦間リンパ球混合培養反応において、OFA-I 0.1μg/ml以上添加濃度で抑制効果を観察し、その50%抑制濃度は約0.2μg/mlであった。培養系への添加時間については、0日目添加で最強の抑制効果を観察し、OFA-Iはリンパ球混合培養反応の認識相においてその抑制効果を発揮することが示された。3.PWM刺激リンパ球免疫グロブリン産生反応において、OFA-I 0.25μg/ml以上添加濃度で抑制効果を観察した。このOFA-Iの抑制効果を妊婦および未妊婦末梢血リンパ球免疫グロブリン産生反応において比較したが、OFA-I 0.1、0.25および0.5μg/mlでは妊婦群と未妊婦群との間に有意差を観察しなかった。また、この反応系において、抑制効果の発現にMφの関与していることが示されたが、OKT8^+細胞の関与する可能性は否定的であった。これらのことから、OFA-Iは、脱落膜に存在するHLA-DR陽性細胞(tissue macrophage あるいは dendritic cell)を介して、子宮局所における母体免疫細胞による胎児・胎盤系への免疫応答を制禦している可能性があり、母児間の免疫的相関に重要な役割を果たすことが推測された。
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1986-06-01
著者
-
高桑 好一
新潟大学医学部産科婦人科学教室
-
金澤 浩二
琉球大
-
金沢 浩二
新潟大学医学部産科婦人科学教室
-
高桑 好一
新潟大学
-
梶野 徹
新潟大
-
竹内 正七
新潟大学医学部産科婦人科
-
笹川 基
新潟大学医学部産科婦人科学教室
-
梶野 徹
新潟大学医学部産科婦人科学教室
-
丸橋 敏宏
新潟大学医学部産科婦人科学教室
-
丸橋 敏宏
新潟県立がんセンター新潟病院産婦人科
-
丸橋 敏宏
新潟大学医学部産科婦人科
-
金沢 浩二
新潟大学医学部産科婦人科
-
梶野 徹
新潟大学医学部産科婦人科
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