I,II期卵巣癌の治療法に関する研究 : 特にIPCP法の中間報告と子宮温存予防的腔内照射の試み
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概要
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過去の卵巣癌74例を術後遺残する細胞数によって3群に分類し,各々の5生率をみると,Noresidual group(Ia,Ib)で83.3%であるが,cell residual group(Ic〜IIc)では29.4%にすぎない.I,II期は手術によってmassとしての腫瘍は90%以上剔出可能な期である.従って問題はcell単位ではあるが,腹腔全域に拡がっている可能性のある癌細胞をどう制禦するかにある.この為1977年から1982年までに我々が行ってきた方法は,腫瘍剔出後にIPCP法を行う方式で,加療後3年以上経過した35例のI,II期癌の3生率は88.6%と良好である.再発した6例の再発部位は5例までがダグラス腔を中心とした小骨盤腔内再発である.この事実はIPCP法はより上方の腹腔内播種性病巣は制禦しているが,より深い遺残病巣があると考えられるダグラス腔近辺への制禦力は不足している事を示唆している.そこで,53例の手術例について癌の拡がり,特に子宮への浸潤を中心に検索した.I,II期38例中5例(13.2%)に子宮浸潤を認めたが,その中4例は手術時肉眼的に癌浸潤ありとして子宮剔出をうけている.これらの事からダグラス腔近辺の癌制禦力を高める為に子宮を温存し,これを腔内照射のapplicatorとして予防照射を行う為の至適照射法を検討した.その結果,Tandem 2本を子宮腔内に装着して75時間(3分割1回/週)照射するか,通常の子宮頚癌腔内照射法と同様に75時間(3分割)照射する方式が良い事を見出した.現在I,II期癌の治療方式として両側附属器剔出に加えて,もし子宮及び膣が腔内照射に適し且つ肉眼的に子宮に癌浸潤がない場合は,これを温存し,予防的腔内照射をIPCP後に行う事としている.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1985-01-01
著者
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