子宮頚癌術後の腟断端照射法の検討及び後障害に関する研究

概要

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子宮頚癌根治手術後の腟断端再発は全再発例の15〜30%を占め, 骨盤内リンパ節再発と並んで臨床上重要である. 我々は, まず昭和31年, 32年度に当教室で根治手術を行い, 且つ5年治輝率の判明している153例について腟壁癌浸潤を組織学的に検索し, 腟断端再発の実態を追求した. その結果, 腟壁癌浸潤陽性群では2年内再発率, 5年治癒率共に有意差をもって非浸潤群よりも予後が不良であり断端再発率も高い事が判明した. そこで次に昭和32年9月以降, 当教室では術後腟断端に全例にRadium照射を行っているが (全例照射法), これとそれ以前の疑わしい症例にのみ腟断端後照射を行う方法 (選択的照射法) との比較を行った. 全例照射群は549例で照射量は500〜2,000mghであり, 選択的照射群は577例で照射量は500〜1,500mghである. その結果, 2年内再発, 癌死率及び腟断端再発率は共に有意差をもって全例照射群に低く, 全例照射法が優れている事が明らかになった. 次に腟断端再発防止の為の必要後照射量の問題を年度別腟断端再発率から推測した. すると昭和33年度迄は7.8〜2.2%であったが, 34年度は0.7%, 35年度は1.2%と減少した. これは昭和34年度以後は照射線量を増加し, 少くとも1,000mgh以上とした事が原因と考えられるので少くとも1,000mgh以上が必要と考えられる. しかし全例に1,000mgh以上を照射するとなれば, どうしても後障害, とくに直腸出血が問題となる. そこで特に直腸出血が多発した昭和35年, 36年度の症例について詳細に検討した結果, 線源に^<60>Co Beads 50mcを使用した為と判明した. そこで従来の腟断端照射に使用した線源の線量分布を調べた所, Do.管では線量分布が著しく不均等であり, 又, ^<60>Co Beads 50mcでは線量率が非常に高く, 又中央部と端部との線量の差が大きい事を知った. そこで我々は腟断端照射に適した新しいコルポスタートの必要を痛感し, 種々検討した. その結果新しい腟断端照射用コルポスタートを作製した. その線量分布はほぼ均等でこれを用いて48時間照射した場合の腟断端近接部附近の総線量は粘膜面においてほぼ8,600r〜5,400rの範囲にあり, 線量分布, 総線量, 直腸被爆量 (1,000〜2,300r) 等からみてほぼ期待したコルポスタートと云え, これを用いて全例照射法を行っている. このようなコルポスタートによる全例後照射法が広く行われる事を切望する.
社団法人日本産科婦人科学会の論文
1964-07-01

子宮頚癌術後の腟断端照射法の検討及び後障害に関する研究

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