Angiotensin II併用Cisplatin・Sodium thiosulfate 二経路化学療法の臨床・薬物動態的検討

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Angiotensin II (AT-II)併用Cisplatin (CDDP)・Sodium thiosulfate (STS)二経路化学療法を, 卵巣癌などの手術後10〜12日を経た31症例に施行した. AT-II 0.2μg/minから次第に増量して, 平常時収縮期血圧を30〜40%上昇させ, 23症例ではCDDP 150mg/bodyを, また8症例では150mg/m^2(200〜225mg/body)にdose upして腹腔内(IP)投与した. AT-IIによる昇圧は, さらに15分持続後終了したが, その際同時にSTS 8gを静脈内(IV)投与し, 加えて16gを6時間で点滴静注(IVd)した. その結果, 以下のことがらが判明した. 1) AT-II併用下でCDDP 150mg/m^2のIP投与後15分の血漿全Pt (T-Pt), Filtrable Pt (F-Pt)が, 各々7.83±0.85 (mean±SE以下同じ), 4.02±0.55μg/mlと急増したにもかかわらず, 尿中Pt値は1.37±0.47μg/mlと極めて低値を持続した. AT-II併用中は, 尿量が有意に減少し, CDDPの尿中への排泄も有意に低下していたので, 腎組織を環流するCDDPは有意に少ないと考えられた. 2) AT-II併用下でCDDP 150mg/body IP投与後15分, 30分の各々のF-Ptは2.87±0.28, 3.22±0.25μg/mlと, AT-II併用なし群に比べて有意(p<0.01)に増加していたが, 骨髄, 腎, 肝, 消化器の障害の発現頻度は, 両群間に差を認めなかつた. AT-II中止後に投与されたSTSが, 腎, 肝などに増加流入してくるF-Ptを充分中和したことが示された. 3) AT-II併用下でCDDP投与量を150mg/m^2にdose upすると, IP投与後15分, 30分の各々のF-Pt値は4.02±0.55, 4.31±0.34μg/mlと有意に高値(p<0.05)を示し, また腎障害も有意に高率(p<0.05)で, しかもより重篤なものが多く発現した. AT-II中止後のSTS投与量を増量する必要性が示唆された. AT-II併用下では, F-Ptが有意に高値で, STS投与タイミングもCDDP投与後15分間遅らせることができたので, CDDPの抗腫瘍効果も増強されると期待された.
社団法人日本産科婦人科学会の論文
1992-05-01

Angiotensin II併用Cisplatin・Sodium thiosulfate 二経路化学療法の臨床・薬物動態的検討

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