ロールシャッハ・テストによる数学不得意生徒の性格分析 : 各教科教育のに関する教育心理学的研究 II (数学科 その2)
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概要
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京都市M中学3年生全員353名中から,文部省学力調査の結果において,数学と国語の点にいちじるしい差のあるものえらび出した。それを数学型(m群),国語型(l群)としてわけ,これら被験者のロールシャッハ図版に対する反応様式から,その思考法の相違をみようとした。被験者はm群16名,l群14名で,IQには差がない。ただし,l群中1名はテストの結果の記号化が不能であったので除外した。比較した各因子中有意差のあったもののみ示すと次のようになる。(1)全反応数 l>m (p<0.05) (2) 全体反応W% l<m (p<0.05) (4) 形態の正確さ l<m (p<0.05) (5) 反応の特殊化 l>m (p<0.05) (6) 不定形態反応 l>m (p<0.05) (8) 外的因子% l>m (p<0.05) (9) 内向型 l<m (p<0.05) (10)独創反応O l>m (p<0.05) 以上によって,数学科的思考法と,国語科的思考法を区別することができた。その特性を略記すると,m群は,刺激が与えられると,その刺激のこまかい属性にあまりとらわれず,形態を正確に判断して,それを基として全体的に結合,組織化していく点に重点をおく,その場合,反応の素材はありふれたものが多く,反応の数も少ない。l群は,刺激の外的な属性,濃淡や色彩に留意し,それらを反応の中に入れ込むことが多い。しかしあまりそれらに影響されるので,m群よりは形態視の正確さにかける点がある。m群の組織化の機能にたいして,l群は特殊化の傾向よって反応を多彩にする。特殊化の機能と想像力の豊富さによって,反応数も多く,独創反応も多い。この結果によって,数学以外の学科はできても数学のみできない生徒の存在は,その生徒が数学のできるものにとっては自明としている出発以前の点に疑問をもち,不安を感じていることを示しているのではないかと考えられ,両者の間に質的な思考方法の才が存在すると思われる。
- 日本教育心理学会の論文
- 1959-01-30
著者
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