数学学力と知能因子の関係に関する発達的研究 : 各教科教育法に関する教育心理学的研究 I (数学科 その1)
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概要
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この研究の目的は,数学学力の発達的な変化を,知能との関係において分析することにあった。そのためにまず小4,小6,中1,中3,高2の計491名の被験者に,算数数学学力検査と京大NX知能検査を行なった。算数数学学力検査は学習指導要領に従って,小中学校では数概念,量概念,図形概念,関係概念,実務,問題解決の6下位検査からなり,高校では数量概念,図形概念,関係概念,問題解決の4下位研鑽からなるものを作成した。まずこのテストの内部関係を求めたところ,かなり高い相関係数がえられたが,.特に関係概念のテストは内部相関も総点との相関も高かった。また相関の比較的低いテストは低学年では実務,高学年では付け医概念のテストであった。ついでに知能検査の因子分析の結果に従い,各生徒の因子点を算出し,この因子点と算数数学学力テストとの相関を発達的に検討した。その結果小4,小6,中1までは言語因子と数学学力テストの相関関係が密接にみられたが,中3,高2ではむしろ,言語因子以外の因子と数学学力テストとの相関が高かった。また知能偏差値と言語因子点の差によってGP分析を行なったが,やはり小4,小6では言語型群の方が算数学力テストの成績はよかったが,中3,高2ではむしろ非言語型群の方が数学学力テストの得点は高い傾向がみられた。これらの事実から知能と数学学力との関係は,単に知能偏差値または地方指数と数学学力テストの総点との単純な相関では一見して発達的になんら関係しないように見えるが,両者を分析して質的に考察sreba,小学校では知能のうちの言語因子と算数学力との相関が高く,それば中学,高校となるにつれてしだいに言語因子以外の因子と関係が深くなると結論された。
- 日本教育心理学会の論文
- 1959-01-30
著者
-
倉石 精一
京都大学区
-
梅本 尭夫
京都大学教育学部
-
梅本 尭夫
甲南女子大学
-
奥野 茂夫
京都大学
-
安原 宏
京都大学
-
村川 紀子
京都大学
-
百名 盛之
京都大学
-
添田 信子
京都大学
-
倉石 精一
京都大学
-
梅本 尭夫
京都大学
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