イネの人為同質四倍体にガンマ線照射して得られた二倍体様植物体の形質の変異
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概要
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コルヒチン処理によって得られたイネ(フクニシキ,日本晴)の同質四倍体にガンマ線を照射したところ,外見的に二倍体と考えられる植物体が出現した。この植物体を二倍体様植物体と呼ぶことにした.その後代を無照射で栽培し,形質の変異を調査した.これまでに得られた8個体の.二倍体様植物には,二倍体のフクニシキおよび日本晴と形態的に見分けのつかぬものから,多くの変異形質を持つものまで種々の変異型のあることが分かった.また変異の中には優性方向のもの(有芒,着色)もあり,これらは遺伝子の発現制御機構の変化や部分的に重複した遺伝子の遺伝子量効果によって生じたのではないかと考えた. 種の形成が遺伝子突然変異の集積ではなく,染色体構造の変化に伴う.遺伝子発現機構の再組織化を通して行われたのではないかという意見が進化学の分野において提出されている。この考えに基づけば,人為的に染色体を倍加した植物体に放射線を照射することにより,転移,欠失,逆位などの染色体異常を誘発し,遺伝的に冗長性を持つ染色体を再構成することを通して多くの変異を持ちながらなおかつ正常の稔性を持つ植物体を得ることが期待される.もし,このことが現実となれば,変異の幅をひろげる良い手段となるだろう.本実験によって得られた二倍体様イネがこのような植物体に相当するかどうか,染色体の観察によって確認しなけれぼならない.
- 日本育種学会の論文
- 1988-12-01
著者
-
山元 皓二
長岡技術科学大学
-
武田 元吉
東京大学農学部
-
福岡 浩之
東京大学農学部
-
影山 泰
東京大学農学部
-
山元 皓二
東京大学農学部
-
武田 元吉
東京農業大学農学部
-
武田 元吉
東京農業大学 農学部
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