オオムギ染色体の行動 : I.体細胞分裂中期における相同染色体の位置
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概要
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オオムギ(Hordeum vulgare L.)の染色体(2n=14)をギムザC-分染法により染色した。すべての染色体が動原体に近い部分にバンド(構成ヘテロクロマチン)を持っていた。本実験に用いた品種(愛媛裸1号)の特徴としてバンドの濃淡差により染色体を2群に分けることが出来た。また,各染色体の持つ形態とバンド紋様とに基づいて7対の染色体を完全に識別することが出来た。これらの性質を利用し,体細胞分裂周期における染色体の行動について研究を行たった。分裂前期になると,すべての染色体が動原体部分で折れまがったV字型の形態をとり,動原体を1つの極に向け,他の極に両腕をのばした状態で出現してくる。この状態は前回の細胞分裂における終期の配置を間期の間それほど崩さずに保持した結果であることが,クロモセンター(染色体上のヘテロクロマチンに対応すると考えられている)の間期核内における局在より示唆された。このように核内において染色体全体が方向づけられている上に,7対の相同染色体は近接して配置されていることが中期像の観察により明らかとなった。この近接配置は中期から後期にかけて強まり,後期においては動原体に近い部分で密着している像も観察された。さらに非相同染色体の間でもバンドの濃淡差により2つの群を形成していた。これらの観察より染色体は分裂周期を通してランダムに動きまわっているのではなく,ある秩序を持ちながら行動していると結論される。
- 日本育種学会の論文
- 1982-09-01
著者
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