トマト野生種L. chilense PI128644の高再分化能に連鎖する分子マーカー

概要

論文の詳細を見る
トマト野生種`peruvianum-complex'は高い再分化能を持つ。本研究では,`peruvianum-complex'を構成する野生種の1つL. chilenseの高再分化能に注目し,戻し交雑世代を用い,この形質に連鎖する分子マーカーの探索を試みた。トマト栽培種`強力大型東光'とL. chilensePI128644のF_1雑種,およびBC_1F1,BC_2F_1世代は胚珠培養によって獲得した。再分化能の培養試験は3反復の乱塊法で行い,根切片を1mg/l zeatin riboside,2% sucroseを含むMS培地で4週間培養した。再分化率は不定芽形成切片数/培養切片数(%)とした。栽培種は再分化率0%を示したのに対し,野生種PI128644は90%以上の再分化率を示した。F_I雑種は80%〜100%の再分化率を示し,この形質が優性であることを示した。BC_1F_1世代における再分化能の分離は,0%6個体,0%〜30%未満6個体,80%以上10個体と3グループに分けられる分離を示したが(Fig.1),BC_2F_1世代では全体の70%を超える86個体が栽培種と同じO%を示し,残りの27個体が0から100%まで連続的な分布を示した(Fig.1)。BC_1F_1およびBC_2F_1世代における野生種特異的RAPDマーカーと酸性インベルターゼ(inv)の分離を調査した結果,高い再分化率を示した個体中には高頻度で存在し,再分化率O%の個体中にはほとんど存在しない3つのマーカー(0PA02-1,OPA20-3,inv^<chi>)を見出した。Mann-WhitneyのU検定の結果,これら3つのマーカーと再分化率の関係が1%水準で有意であることが示され,再分化能遺伝子とこれらのマーカーが連鎖する可能性が示唆された。
日本育種学会の論文
1998-06-01

トマト野生種L. chilense PI128644の高再分化能に連鎖する分子マーカー

スポンサーリンク

概要

著者

関連論文

スポンサーリンク