トマトにおける果重と種子量の相関について
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概要
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トマトの果実において, 環境条件や品種改良が果重と種子含量との間の関係にいかなる影響を及ぼすか, あるいは, 及ぼしてきたかを明らかにするため, 多数の品種を供試して品種比較試験を行ない, 品種内と品種間における上記2形質間の相関関係などを検討した.品種内における2形質間の相関係数と回帰係数は, 品種と年次の平均では, それぞれ約0.60と0.95となつたが, 各品種の相関係数や回帰係数の間には有意水準に近い幅広い変異が存在した. これらの結果から, トマトでは品種内において, 2形質間に正の相関が存在し, それゆえ, 環境条件は2形質に作用して一方の増加は他方の増加を伴うものと考えられる. さらに, その関係には相関によつて表わされる関連の強さ, および, 回帰によつて表わされる関連の方向性に関して, 品種間差異すなわち遺伝子型差異が存在するものと考えられる.つぎに, 品種間における2形質間の関係を検討するため, 分散共分散分析によつて, 表現型相関, 遺伝子型相関および環境相関を推定した. その結果, 環境相関では正の相関がえられ, 環境条件が2形質間に正の相関をもたらすことが確認された. 一方, 遺伝子型相関は年次の平均では約0.60となつた. この遺伝子型相関は統計的に有意な値であると推定された. これは品種改良による果重の増加が間接的な種子量の増加を伴つてきたことを示すものであり, また, 果重に比較し種子量の少ない品種や逆に種子量に比較し果重の少ない品種などが品種改良の結果として分化してきたことを示すものであろう.両形質について遺伝力も求めたが, 系統単位の遺伝力はともに高い値であつた.
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