オホーツク海南部の海氷域における熱収支の見積もり
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概要
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1996年と1997年の2月上旬に行われた気象、海氷の現場観測を基に、オホーツク海南部の海氷域における海氷域表面の熱収支を見積もった。計算に必要となる海氷密接度、氷厚分布はビデオ観測から定量的に求めた。熱フラックスの計算は鉛直一次元熱力学モデルを用いて氷厚別に行い、領域全体の熱フラックスは各氷厚の面積の重みをかけて足し合わせて求めた。その結果、(1)比較的薄い海氷が多いため、乱流フラックスは上向きであり、海氷域が乱流フラックスとして大気に熱を与えていること、(2)領域全体の乱流フラックスに対して開水面と薄氷域が大きく寄与していること、(3)平均海氷成長量は1cm/day以下であり、熱力学的な成長は限られていること、などが分かった。(1)と(3)は比較的低緯度に位置するこの海域の特徴と考えられ、(2)は比較的厚い海氷が卓越する極域海氷域における特徴と同様である。また、計算結果から、日中は短波放射により表面融解が生じていることが示唆された。現場の海氷サンプルの塩分は極域一年氷よりも約3パーミル低く、むしろ多年氷に近い値を示した。多年氷は主として夏期の表面融解により低塩分化することが知られており、同様の表面融解が2月のオホーツク海南部でも生じていると考えられる。
- 社団法人日本気象学会の論文
- 2000-10-25
著者
-
豊田 威信
北海道大学低温科学研究所
-
若土 正曉
北海道大学低温科学研究所
-
河村 俊行
北海道大学低温科学研究所
-
豊田 威信
北海道大学
-
若土 正暁
北大 低温科研
-
若土 正暁
北海道大学低温科学研究所
-
豊田 威信
北大低温研
-
若土 正暁
北大低温研
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