大陸スケールの季節変化に対する凍土のインパクトに関する数値的研究
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概要
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凍土の気候システムに対する熱的・水文的インパクトについて大気大循環モデル(AGCM)を用いて調べた。土壌凍結を入れた実験と入れない実験、即ち凍結融解の潜熱と凍結時の不透水性を入れた実験と入れない実験の差から、土壌凍結を考慮することによって夏季に中高緯度陸上の地表気温が高くなることが示された。これによって東南アジアで水蒸気フラックスと降水が強化する。夏季の陸上の高温は、表層の土壌水分が少なくなって、蒸発が減少するためである。表層の土壌水分が少なくなるのは、春季に凍土の不透水性によって融雪水の流出が増大するためと、土壌の深層が凍結していることによって蒸発しうる液体の土壌水分が少ないためである。大陸の中央部では、蒸発量が小さくなることによって降水量が小さくなる。また、可能蒸発量が大きいところでは土壌水分の変化に対する気温変化の感度が大きいことが示された。冬季には、凍土域の土壌深層の温度は凍結潜熱によって高くなるが、地表気温の変化は大気の力学的な応答によってより強く支配されていると見られる。様々なスキームやパラメタを用いた1次元陸面過程モデルでもAGCM実験と同様なインパクトが得られた。
- 2000-06-25
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