簡易大気 : 海洋系における中緯度10年振動のふるまい

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中緯度の海面水温(SST)に見られる10年規模変動の理解に向けて、簡単な大気海洋結合モデルによる数値実験を行なった。用いた海洋モデルは線型の浅水・準地衡方程式および混合層の熱力学の式からなっており、大気偏差はSSTと海面風偏差の間に経験則をとりいれた定常モデルで表される。この経験則は正の風速-蒸発フィードバックをもたらすが、その強さはSST自身による局所的な熱的減衰を越えるものではない。この結合モデルを時間積分する際、平均地衡流および地衡流偏差、大気海洋結合、および局所的な熱的減衰にパラメータ(各々γ_c、γ_t、γ_h γ_dと表記)を導入し、数値解のふるまいの変化を調べた。標準パラメータを用いると、北大西洋・北太平洋で各々13および16年周期の振動が生じる。しかし、局所的な熱的減衰が強過ぎるために空間構造はほとんど同定できない。熱的減衰を弱めたとき、モデルのSST偏差は観測の変動に似た時間発展を示す。シミュレートされた10年振動の原型として、異なるパラメータの組からなる二種類のモードが挙げられる:平均地衡流による水平温度移流が駆動する「移流モード」と、海洋上層の傾圧ロスビー波が生成する地衡流偏差による移流が本質的に重要な「ロスビー波モード」である。熱的減衰の影響を直接受けるために、前者の方が概ね減衰は大きい。これらの振動の基本的な特徴は、簡単な概念モデルで表すことができる。大気海洋結合の役割を明らかにするために、大気の短周期擾乱を表す白色ノイズを系に加えた。結合がないとき、すなわち海洋モデルを大気のノイズのみで強制した場合、stochastic理論に符号してSSTのパワースペクトルは赤色ノイズのスペクトルに一致する。結合系にノイズを加えると、長周期の分散が増加し、明らかな10年スケールのスペクトル・ピークを示す。しかし、このピークは地衡流を除去すると消えてしまう。これらの結果は、ノイズによる強制の下で、結合系の固有モード-それ自身は強く減衰されるとしても-が10年スケールのスペクトル・ピークを生じるのに決定的であることを示している。
2000-08-25

簡易大気 : 海洋系における中緯度10年振動のふるまい

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