植生改変・エアロゾル複合効果がアジアの気候に及ぼす影響の評価
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
アジア域では, 土地利用変化などに伴う植生改変およびエアロゾルの増加が顕著であり, これらの変動は陸面過程, 大気放射, および雲・降水を変化させ, アジアモンスーンなどのアジア域気候に影響している可能性が大きい. 本研究では, 植生改変とエアロゾル変動の役割という観点から, 総合的に気候影響を検討している. 本論文では, 特に, 農地化などの土地利用変化が, 陸面, および硝酸塩や植生起源有機炭素などのエアロゾル成分の変動を通じて, どのように気候に影響するかについて, 全球化学・エアロゾル気候モデルを用いた最新の結果について紹介する.This study assesses the roles of aerosols in the past/present changes in Asian climate and monsoon, isolating impacts of individual aerosol components in the framework of the CCSR/NIES/FRCGC climate model (MIROC). Many recent studies suggest that increases in anthropogenic aerosols such as black carbon and sulfate may play a crucial role in Asian climate change as observed. Our previous studies also demonstrate the significance of aerosol increases (sulfate and carbonaceous aerosols) in the simulated precipitation changes in Asia (e.g.,Arai et al., 2009). In this study, we particularly focus on the changes of nitrate and secondary organic aerosols (SOA) which are tightly linked to land use change in regions like Asia, but not treated in our previous aerosol studies. We newly introduced simulation of nitrate aerosol in our climate model. Our simulation shows that there are anomalously high concentrations of nitrate aerosol in South Asia (particularly around India and Bangladesh), coming from abundant ammonium and less sulfate components in this region. In India, free tropospheric mixing ratio and number concentration of nitrate in fine mode are both larger than those of sulfate in winter to early summer. Our study estimates large cooling (1-2 W m-2)in South Asia due to nitrate increase in terms of direct radiative forcing for 1850-2000. This result suggests nitrate aerosol may play an important role in the observed changes in Asian monsoon. In addition, we estimate changes in biogenic VOCs emissions associated with land use change during 1850-2000; biogenic VOCs like terpenes are important precursors of SOA. We estimate significant reduction (50-70%) in terpenes and other VOCs emissions in the central Eurasia, North America, and Asia due to intense cultivation and deforestation in these areas. Responding to the VOCs decreases during 1850-2000, our model calculates large reduction of SOA, leading to a positive direct radiative forcing (warming) of 0.5-1 W m-2 in South Asia. This warming from SOA and cooling from nitrate aerosol which are both linked to land use change may compensate for each other in Asia.大気圏と生物圏の相互利用. 北海道大学低温科学研究所編
- 北海道大学低温科学研究所 = Institute of Low Temperature Science, Hokkaido Universityの論文
著者
関連論文
- 2.大気エアロゾルの気候影響評価(『水循環環境科学』における分野横断的な議論のための入門解説〜ダウンスケーリング・エアロゾル・層積雲・データ同化〜)
- C204 異なる手法を用いた東アジア対流圏オゾンの発生源別寄与推定の比較(物質循環・放射)
- 放射強制力(新用語解説)
- 国際気象学・大気科学協会2001年会合(IAMAS2001)報告
- P430 全球気候モデルにおける積雪サブグリッド被覆率スキームの改良
- C203 対流圏オゾンおよびメタンの過去再現シミュレーション : 初期結果(物質循環・放射)
- 第23回国際測地学・地球物理学連合総会 : (IUGG2003・札幌)の報告(2)
- P110 全球エアロゾル輸送モデルへの四次元変分同化手法の導入(ポスターセッション)
- P118 東アジア付近の対流圏カラムオゾン高濃度帯の成因と季節変化の原因に関する研究(ポスターセッション)
- D308 ピマイ(タイ)の大気エアロゾルの化学組成と光学特性(第3報) : 乾期における化石燃料燃焼、土壌、及びバイオマス燃焼起源による影響(物質循環II,一般口頭発表)
- エアロゾルモデルの現状と課題:次世代観測 (総特集 衛星から見た地球大気系の大規模構造)
- D301 全球メタン濃度の過去再現シミュレーション : 気候変動の影響(物質循環II,一般口頭発表)
- D202 全球エアロゾルモデル相互比較プロジェクトAeroCom第2期実験準拠シミュレーション(物質循環I,一般口頭発表)
- D201 全球エアロゾルモデルとAERONET観測網を用いたエアロゾル光学特性の比較研究(物質循環I,一般口頭発表)
- B106 GCMにおけるLAI予報の有無が北半球冬季気候場に与える影響(気候システムI,一般口頭発表)
- D209 MAX-DOAS観測を用いた全球化学・エアロゾル気候モデルの評価(エアロゾルII)
- A307 降水量変化予測と水資源影響評価の排出シナリオ依存性(気候システムII)
- C153 東アジア域のエアロゾルの直接、間接の放射強制について(雲微物理特性と放射収支)
- 東アジア域のエアロゾルの直接、間接の放射強制について
- P101 環境変化が100年後における森林の群落動態・物質収支に及ぼす影響
- 陸上植生動態-気候間の相互作用のモデル化
- B215 三次元全球エアロゾル輸送モデルによる海洋性有機炭素エアロゾル : 1.清浄海洋大気(南緯40-60度)領域での影響(エアロゾル)
- C210 GCMと地上・衛星観測を用いた海洋上清浄大気におけるエアロゾルの特性の考察(エアロゾル)
- D203 GCMを用いたエアロゾルの吸湿性に関する感度実験(エアロゾル)
- C457 1700年から1850年にかけて進行した耕地化がアジアモンスーンの開始・終了に及ぼした影響(気候システムIII)
- C356 歴史的な土地利用の変化が大気場に及ぼした影響(スペシャル・セッション「iLEAPS(the Integrated Land Ecosystem-Atmosphere Processes Study)」)
- C212 最終氷期極大期におけるエアロゾルの分布および気候影響に関するシミュレーション(エアロゾル)
- P188 エアロゾル気候モデルSPRINTARSを用いた氷期のダスト分布シミュレーションの植生依存性
- P180 キラウエア火山起源粒子の大気への影響(ポスター・セッション)
- D356 ヒマラヤの氷河に乾性沈着するブラックカーボン量のモデル間の見積もり誤差(物質循環システム,口頭発表)
- A163 2010年春に北米を連続的に覆ったアジア起源ダスト(スペシャル・セッション「黄砂とバイオエアロゾル:発生-輸送-分布-沈着-影響評価へのモデル化-」,口頭発表)
- B165 20世紀のエアロゾルの増加がアフリカの降水トレンドに及ぼす影響(気候システムI)
- A307 炭素性エアロゾルの増加が20世紀のアフリカ南部の降水変化に及ぼす影響(気候システムII,口頭発表)
- D352 東アジア付近の対流圏オゾン気柱量に見られる高濃度帯(E-TCO)の成因と季節変動の原因に関する研究(物質循環システム,口頭発表)
- P171 N_2Oアイソトポマーモデルを用いた全球N_2O放出源のアイソトポマー比の推定(ポスター・セッション)
- B353 大気汚染および黄砂現象に関する情報提供のあり方について(スペシャル・セッション「気象情報・知識の伝達・普及(II)」,口頭発表)
- D354 RCPにシナリオに基づいた対流圏オゾンの将来予測(物質循環システム,口頭発表)
- D355 BCの大気変質過程のパラメタリゼーションの全球モデルへの導入(物質循環システム,口頭発表)
- P403 レーダーライダー観測とビン法雲物理を組み込んだ気象庁非静力学モデル計算による雲の鉛直微物理構造の比較
- P148 研究船みらい搭載レーダーライダー観測結果と気象庁非静力学モデル計算結果による雲の鉛直微物理構造の比較
- C213 数値実験から予想される雲凝結核数に対する雲降水システムを介しての雲頂高度・降水量の感度(降水システムII)
- P341 タクラマカン砂漠起源ダストの大陸間輸送 : CALIPSOと数値モデルを組み合わせた3次元解析
- C206 地球を一周するアジア起源ダストの輸送について(物質循環・放射)
- エアロゾル輸送モデルとデータ同化
- P395 全球エアロゾルモデルとアンサンブルカルマンフィルタを用いた2波長エアロゾル光学的厚さの同化実験
- C211 アンサンブルカルマンフィルタの全球エアロゾル輸送モデルへの導入(エアロゾル)
- P443 太平洋を横断するアジア起源ダストの3次元構造の解析
- A206 人為起源の温室効果ガス増加による20世紀の昇温量推定に及ぼす炭素性エアロゾル増加の影響(気候システムII)
- P174 エルニーニョの時間発展に伴う全球対流圏オゾン分布の変動(ポスター・セッション)
- D156 粒径情報を取り入れたエアロゾルデータ同化手法(エアロゾル)
- P143 航空機排出エアロゾルの気候への影響に関する研究
- 大気エアロゾル予測システムの開発
- P306 雲レーダ・ライダ/衛星観測データ及び気候モデルを用いた雲微物理特性の再現性に関する研究
- B234 地球温暖化による大気大循環の変化
- P108 衛星観測データと化学気候モデルを用いた東アジア域からの窒素酸化物の長距離輸送の事例解析
- P442 日本付近のCO濃度変動と長距離輸送の解析
- C111 「みらい」MR06-05航海における船舶搭載雲レーダ・ライダ,CloudSAT・CALIPSO,SPRINTARSによる雲鉛直特性の比較解析(降水システムI)
- 植生改変・エアロゾル複合効果がアジアの気候に及ぼす影響の評価
- 8. 雲・エアロゾル・放射と気候(第23回国際測地学・地球物理学連合総会(IUGG2003・札幌)の報告(2))
- P147 火山起源SO_2及びSO_4の輸送経路及び化学変化過程の再現
- P138 火山起源SO_2の輸送経路及び化学変化過程の再現シミュレーション
- A409 大気硫黄循環モデルを用いた海洋生物起源DMSに関する研究(物質循環III)
- 大気硫黄循環モデルを用いた海洋生物起源DMSに関する研究
- D252 タグ付き輸送モデルを用いた日本における地表オゾンの発生源別寄与率推定(微量気体)
- P394 衛星データを利用した森林火災起源エアロゾル排出量の推定及び全球エアロゾルモデルによるシミュレーション
- P195 全球気候モデルを用いた雲・降水特性に対するエアロゾル・氷雲相互作用の効果に関する研究
- B216 21世紀のエアロゾルの分布と放射強制力の予測(エアロゾル)
- エアロゾルの広域動態と気候影響のモデリング (エアロゾルの気候と大気環境への影響)
- P320 エアロゾル準直接効果による気象場の変化
- P120 エアロゾルが気象要素の日変化に与える影響に関する研究
- D204 全球エアロゾル予報システムの開発(エアロゾル)
- A156 非静力学モデルへのビン法雲微物理モデルの搭載 : ビン法の初期雲粒粒径分布を求めるパラメタリゼーション(降水システムII)
- D303 全球3次元エアロゾル輸送・放射モデルを用いた雲・エアロゾル相互作用のパラメタリゼーション(物質循環II)
- B202 代替フロン物質HFEの濃度分布と3次元計算によるGWP(物質循環II)
- 将来のエアロゾル分布・放射強制力及び東アジアにおける越境汚染に関するシミュレーション
- エアロゾル輸送モデルを用いた東アジアにおける将来のエアロゾル分布予測実験
- 植生改変・エアロゾル複合効果がアジアの気候に及ぼす影響の評価
- B153 多種類のエアロゾルによる第2種間接効果を考慮した場合の20世紀の気候再現実験(気候システムI)
- P326 全球対流圏オゾン経年変動の回転EOF解析 : ENSOおよびAOのインパクト(ポスター・セッション)
- D451 全球気候モデルMIROC5による現在気候の再現と将来予測(気候システムモデリング,AR5に向けた気候変化予測の現状,専門分科会)
- D461 化学・エアロゾル気候モデルを用いた短寿命気候影響物質の放射強制力の評価(地球システムモデリング,AR5に向けた気候変化予測の現状,専門分科会)
- B204 東アジアの地表オゾンに対する発生源別寄与の長期変化(物質循環,一般口頭発表)
- D459 地球システムモデルMIROC-ESM-CHEMによるアジア域の有害紫外線シミュレーション(地球システムモデリング,AR5に向けた気候変化予測の現状,専門分科会)
- P331 南極昭和基地への黒色炭素の長距離輸送と起源の推定(ポスター・セッション)
- P362 東アジアにおける対流圏オゾン気柱量の起源分類 : タグ付きトレーサー実験に基づく対流圏内の領域別解析(ポスター・セッション)
- D458 全球化学輸送モデルにおける上部対流圏オゾン分布の再現性評価 : 気象場、鉛直座標系、解像度に対する感度実験(物質循環,一般口頭発表)
- A369 化学・エアロゾル気候モデルによる硫酸塩・ダスト粒子の結合シミュレーション(物質循環,口頭発表)
- A364 ピマイ(タイ)の大気エアロゾルの化学組成と光学特性(第4報) : 乾期と雨期における土壌系粒子の輸送過程と発生源推定(物質循環,口頭発表)
- D364 20世紀後半における北部太平洋域の寒冷化傾向に対する人為起源エアロゾルの影響(気候システムIII,口頭発表)
- A155 衛星観測データの同化による対流圏化学場の統合解析(スペシャル・セッション「大気微量気体およびエアロゾルの同化とその気候研究への利用」,口頭発表)
- A160 SALSAプロジェクトにおける夏季関東領域での大気微量物質シミュレーション(スペシャル・セッション「大気微量気体およびエアロゾルの同化とその気候研究への利用」,口頭発表)
- P160 化学気候モデルを用いた1991年ピナツボ火山噴火に伴う硫酸エアロゾル時空間変動の評価(ポスター・セッション)
- A164 データ同化手法を用いたエアロゾルの予測精度向上の可能性について(スペシャル・セッション「大気微量気体およびエアロゾルの同化とその気候研究への利用」,口頭発表)
- A165 SPRINTARS/4DVAR同化システムを用いた黄砂の排出量推定(スペシャル・セッション「大気微量気体およびエアロゾルの同化とその気候研究への利用」,口頭発表)
- D311 データ同化手法を用いたエアロゾルの週間予測システムの開発(物質循環II,口頭発表)
- P418 高解像度全球モデルにおける成層圏一対流圏間オゾン交換とその長期変化(ポスター・セッション)
- P157 黒色炭素の全球分布と長距離輸送における支配要因の評価(ポスター・セッション)
- C211 ピマイ(タイ)の大気エアロゾルの化学組成と光学特性(第5報) : 乾期におけるAOTとPM2.5粒子との関係(物質循環II,口頭発表)
- P120 CloudSat衛星観測による北半球中緯度帯の水雲の微物理・巨視的特性(ポスター・セッション)
- C108 高解像度化学気候モデルにおける全球オゾンの年々変動と将来変化(物質循環I,口頭発表)