塩酸セフマチレン水和物(S-1090)の毒性試験 (第4報) : イヌにおける1ヵ月および3ヵ月反復経口投与毒性試験
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概要
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塩酸セフマチレン水和物(S-1090)のビーグル犬における1ヵ月間および3ヵ月間反復経口投与毒性試験を実施した。投与量は両試験とも, 25, 100および400mg(力価)/kg/日を設定した。両試験において, 死亡例は発生しなかった。また, 赤褐色便(S-1090又はその分解物と飼料中の3価鉄によるキレート物)が両試験の全投与群でみられた。さらに, 両試験の400mg(力価)/kg群で一過性の赤色尿の排泄を認め, 100および400mg(力価)/kg群で血漿中の鉄値が軽度増加した。しかし貧血または肝障害を示す変化はなく, 毒性学的意義はないと判断した。いずれの試験においても血漿中S-1090濃度は用量比以下の割合で増加した。1ヵ月毒性試験では上記変化を含めて毒性学的に意義のある変化は発現せず, 無毒性量は, 400mg(力価)/kg/日と判断した。3ヵ月毒性試験では, 上記変化のほかに, 400mg(力価)/kg群の尿検査では, 潜血反応が陽性を示し, 沈渣中に赤血球がみられた。病理検査では, 400mg(力価)/kg群の膀胱において粘膜下織の水腫, 出血, 炎症性細胞浸潤および限局性の粘膜肥厚が観察された。また, 膀胱炎は尿中代謝物による慢性的刺激により惹起されたと推察され, 1ヵ月の休薬により回復性が認められた。以上の結果から, 3ヵ月毒性試験の無毒性量は, 100mg(力価)/kg/日と判断した。
- 日本トキシコロジー学会の論文
- 2001-05-08
著者
-
佐藤 一美
塩野義製薬株式会社新薬研究所
-
加藤 育雄
塩野義製薬株式会社新薬研究所
-
上野 元伸
塩野義製薬株式会社新薬研究所
-
西村 清一
塩野義製薬株式会社 新薬研究所
-
村岡 義博
塩野義製薬株式会社新薬研究所
-
平田 雅春
塩野義製薬株式会社新薬研究所
-
木村 靖雄
塩野義製薬株式会社新薬研究所
-
矢原 功
塩野義製薬株式会社 新薬研究所
-
山県 英弘
塩野義製薬株式会社新薬研究所
-
井上 知
塩野義製薬株式会社新薬研究所
-
宮内 秀之
塩野義製薬株式会社新薬研究所
-
北村 忠久
塩野義製薬株式会社新薬研究所
-
矢原 功
塩野義製薬株式会社新薬研究所
-
西村 清一
塩野義製薬株式会社新薬研究所
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平田 雅春
塩野義製薬(株)研究所
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北村 忠久
塩野義製薬(株) 中枢神経薬研究センター
-
木村 靖雄
Shionogi Research Laboratories Shionogi & Co. Ltd.
-
加藤 育雄
塩野義製薬医薬研究開発本部 新薬研
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北村 忠久
塩野義製薬
-
村岡 義博
塩野義製薬(株)研究所・神崎川分室
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