塩酸セフマチレン水和物(S-1090)の毒性試験 (第1報) : ラットにおける単回経口投与および単回静脈内投与毒性試験

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塩酸セフマチレン水和物(S-1090)の単回経口投与毒性試験およびS-1090ナトリウム塩(以下S-1090-Na)の単回静脈内投与毒性試験をラットを用いて実施した。S-1090またはS-1090-Naの投与量は, いずれも2000mg (力価)/kgの1用量とした。S-1090の単回経口投与毒性試験死亡例は発生しなかった。投与当日に下痢便, 投与後6日まで軽度な軟便を認めた。これら変化は, S-1090の抗菌作用による腸内細菌叢の変化により惹起されたと考えられた。また, 赤褐色便(S-1090又はその分解物と飼料中の3価鉄によるキレート物)が投与翌日までみられた。体重は順調に増加し, 病理検査でもS-1090に起因する変化を認めなかった。概略の致死量は2000mg(力価)/kgを超える量と判断した。S-1090-Naの単回静脈内投与毒性試験死亡例は発生しなかった。投与直後から活動性低下, ふらつき, 呼吸抑制を主徴とする中毒症状が発現し, 症状の強い例では腹臥位となり, 眼球および耳介の蒼白もみられた。これら症状は投与後4時間以内に回復した。またS-1090の単回経口投与時と同じく, 赤褐色便および軽度な軟便の排泄を認めた。体重は順調に増加した。病理検査において, 盲腸の軽度な拡張と腎臓では尿細管の好塩基性変化, 髄質尿細管の石灰化や拡張を認めた。概略の致死量は2000mg(力価)/kgを超える量と判断した。
日本トキシコロジー学会の論文
2001-05-08

塩酸セフマチレン水和物(S-1090)の毒性試験 (第1報) : ラットにおける単回経口投与および単回静脈内投与毒性試験

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