塩酸セフマチレン水和物(S-1090)の生殖発生毒性試験 (第1報) : 経口投与によるラット妊娠前および妊娠初期投与試験

概要

論文の詳細を見る
塩酸セフマチレン水和物(S-1090)の100, 300および1000mg (力価)/kg/日を妊娠前と妊娠初期にわたりラットに経口投与し, 親動物および次世代の発生に及ぼす影響を検討した。S-1090の全投与群で, 雌雄ラットに軟便および赤褐色便が, さらに雄ラットでは腹部膨満がみられた。雄ラットでは, 1000mg (力価)/kg投与群で体重および摂節量が, 投与期間を通して増加した。雌ラットでは, S-1090の全投与群で体重が妊娠末期に減少し, 摂餌量は投与初期に一時的に減少後, 妊娠21日に増加した。雌雄ラットの剖検で盲腸の拡張と重量増加がみられた。性周期, 交尾率および受胎率などの生殖機能に関する検査項目, 並びに着床率, 生存率, 胎児体重および異常発現などの次世代の発生に関する検査項目において, S-1090投与の影響はみられなかった。以上の成績から, 本試験条件下におけるS-1090の無毒性量は, 雌雄ラットの一般毒性に関しては100mg(力価)/kg/日より低い量, 生殖機能に関しては1000mg (力価)/kg/日, 次世代の発生に関しては1000mg (力価)/kg/日と判断した。
日本トキシコロジー学会の論文
2001-05-08