新規抗悪性腫瘍薬S-1の生殖・発生毒性試験 (第1報) : ラット経口投与による妊娠前および妊娠初期投与試験
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概要
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抗悪性腫瘍薬S-1は,FT,CDHPおよびOxoをモル比1:0.4:1で配合したフッ化ピリミジン(5-FU)系の配合剤である。今回,S-1の安全性試験の一環として,S-1のラット経口投与による妊娠前および妊娠初期投与試験を,0,1,4および7 mg/kg/dayの用量で雌雄各24匹のCrj:CD (SD)ラットを用いて実施し,S-1の親動物および胚・胎児に及ぼす影響を検討した。1. 親動物に対する一般毒性学的影響: 一般状態観察では,S-1に起因すると思われる変化はみられなかった。7 mg/kg/day群の雄で,投与期間中に,体重増加抑制および摂餌量の低下がみられた。7 mg/kg/day群の雄で,胸腺の重量・重量比および精巣・精巣上体の重量に低値,および雌で腎臓の重量・重量比に高値がみられた。2. 親動物の生殖能力に対する影響: 交配検査において,交尾率および受胎率の低下および着床阻害はみられず,S-1投与に起因する影響はみられなかった。3. 胚・胎児に対する影響: 胚・胎児死亡数および率の増加はみられなかった。7 mg/kg/day群で,生存胎児体重の低値および骨化進行度の遅延がみられ,胎児の発育抑制がみられた。S-1投与に起因する奇形の発現はなかった。4. 以上のことより,本試験条件下では,S-1の親動物に対する一般毒性学的無影響量は雌雄とも4 mg/kg/day,生殖能力に対する無影響量は7 mg/kg/day以上,胚・胎児に対する無影響量は4 mg/kg/dayであると推定された。
- 日本トキシコロジー学会の論文
- 1996-11-27
著者
-
今村 健二
大鵬薬品工業株式会社製薬センター安全性研究所
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四宮 充普
大鵬薬品工業株式会社 製薬センター 安全性研究所
-
泉 勝彦
大鵬薬品工業株式会社製薬センター安全性研究所
-
四宮 充普
大鵬薬品工業株式会社製薬センター安全性研究所
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四宮 充晋
大鵬薬品工業株式会社 製薬センター 安全性研究所
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