新規抗悪性腫瘍薬S-1の生殖・発生毒性試験 (第3報) : ウサギ経口投与による胎児の器官形成期投与試験
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概要
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被験物質S-1はFT,CDHPおよびOxoをモル比1:0.4:1で配合したフッ化ピリミジン(5-FU)系の抗悪性腫瘍薬として開発された配合剤である。今回,S-1の安全性試験の一環として,ウサギ経口投与による胎児の器官形成期投与試験を,0,0.5,1および1.5 mg/kg/dayの用量で実施し,母獣および胚・胎児に及ぼす影響を検討した。その後,推定臨床用量(2〜3 mg/kg/day )を上廻る2,4および6 mg/kg/dayを投与した場合の胚・胎児に及ぼす影響を詳細に検討する目的で,器官形成期を3分割した分割投与試験Iを実施した。さらに,分割投与試験Iでは,高用量で多数の胚が死亡し,催奇形作用が充分把握できなかったため,高用量の3および6 mg/kg/dayを投与した場合の,催奇形作用を含めて胚・胎児に及ぼす影響を詳細に検討する目的で,器官形成期中の妊娠8〜15日を4分割した分割投与試験IIを実施した。S-1をウサギ胎児の器官形成期の全期間に投与した試験では,1.5 mg/kg/day群で母獣死亡,生存例の胃出血・潰瘍または脂肪肝がみられ母獣への影響が認められた。また軽度ながら催奇形作用を有することが示唆された。胚・胎児致死作用および胎児発育抑制作用はないものと考えられた。母獣に対する一般毒性学的無影響量は1 mg/kg/day,母獣の生殖能に対する無影響量は1.5 mg/kg/dayおよび胚・胎児に対する無影響量は1 mg/kg/dayであると考えられた。分割投与試験Iでは, [D14-18]分割の6 mg/kg/day群で流産がみられた。各分割で母獣の体重・摂餌量への影響が認められた。胚・胎児致死作用が[D6-10]および[D10-14]分割の4 mg/kg/day以上の群,および[D14-18]分割の6 mg/kg/day群で,胎児発育抑制作用が[D10-14]分割の2 mg/kg/day群および[D14-18]分割の2 mg/kg/day以上の群で,催奇形作用が[ D10-14]分割の2 mg/kg/day以上の群および[D14-18]分割の4 mg/kg/day群で認められた。分割投与試験IIでは,[D8・9],[D10・11]および[D12・13]分割の6 mg/kg/day群で流産がみられた。各分割で,母獣の体重・摂餌量への影響が認められた。胚・胎児致死作用が[D8・9]の3 mg/kg/day以上の群およびその他の分割の6 mg/kg/day群で,胎児発育抑制作用および催奇形作用が[D8・9]および[D10・11]分割の3 mg/kg/day群,[D12・13]および[D14・15]分割の6 mg/kg/day群で認められた。このように,器官形成期を分割して投与用量を上昇させたことにより,胚・胎児致死作用,胎児発育抑制作用および催奇形作用が明確となり,器官形成期の早い時期の分割の方が胚・胎児に対する影響が強いことが判明した。催奇形作用は,特異的な時期および器官にではなく,各分割が発生時期に相当する器官でみられたものと考えられた。
- 日本トキシコロジー学会の論文
- 1996-11-27
著者
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四宮 充普
大鵬薬品工業株式会社 製薬センター 安全性研究所
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池渕 一也
大鵬薬品工業株式会社 製薬センター 安全性研究所
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池渕 一也
大鵬薬品工業株式会社製薬センター安全性研究所
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柚木山 史郎
大鵬薬品工業株式会社製薬センター安全性研究所
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四宮 充普
大鵬薬品工業株式会社製薬センター安全性研究所
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四宮 充晋
大鵬薬品工業株式会社 製薬センター 安全性研究所
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