真名川流域における「水稲止葉枯れ症」の発生機作および防止対策について : 第III報土壌改良剤による「止葉枯れ症」の防止効果

概要

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水稲の登熟期に止葉が赤褐色に枯れ上る, いわゆる止葉枯れ症は砂質・礫質からなる乾田に発生し, 土壌中のマンガンが他の養分に比して活性に働くことに由来するものと推定されたので深耕・生石灰等の土壌改良による防止対策を検討した. 1. 土壌改良をはかることがもっとも有効であった. 2. 客土・深耕等による地力の増強をはかることにより, 登熟期においても稲体養分が高く維持されて, 止葉枯れの発生はほとんどみられず高い効果が得られた. 3. グリーソ・アッシュ, ベントナイト, 平炉滓および珪酸石灰等も有効であったが, とくに生石灰の施用が有効であった. 4. これは稲体の珪酸や石灰の含量が高くなることによって, 健全化することと同時に同化作用および転流作用が促進される. さらに土壌中においてもマンガン等の過剰養分に対する拮抗作用等の効果によるものと推定された. 5. これらの土壌改良剤の効果は止葉枯れ抵抗性の弱い品種ほど有効であった. 6. 以上の結果を総括して, 止葉枯れ症の発生は, 第2図にみられるような発生機作によるものと推定された.
日本作物学会の論文
1973-12-30