真名川流城における「水稲止葉枯れ症」の発生機作および防止対策について : 第II報「止葉枯れ症」発生の品種間差と施肥法による防止効果

概要

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前報において水稲の止葉が, 登熟期に赤褐色に枯れる症状の原因はマンガン過剰とその他の無機成分の欠乏, とくにFe/Mn比の低いことにともなう生理病と推定された. この傾向は従来の赤枯病と著しく異なることが明らかとなったので, その品種間抵抗性と施肥法による防止対策を検討した. 1. この発生は早生のみに認められ, 中晩生には発生は認められないが, 早生の中でもとくに7月26〜30日に出穂するものに多発の傾向が認められた. 2. 明らかな品種間差が認められ, 現地の主要品種であるホウネンワセはもっとも抵抗力が弱く, フジミノリはもっとも強く, いずれの年次においてもほとんど発生を認めなかった. 3. このような品種間差は, 従来報告されている赤枯れ病とはまったく異なる傾向を示したが, その原因は体内の鉄含量に由来すると推定された. 4. 晩期追肥・深層追肥などの施肥法による防止効果はかなり高く, このことは登熟期に体内窒素含量が高く維持されているためで, 緩効性肥料などの使用によっても, ほぼ同様な効果が得られた. このように窒素の効果が高いことも, この症状が赤枯れやブロンジングと異なる特徴である.
日本作物学会の論文
1973-12-30