レンサ球菌の細胞表面特性について
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概要
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口腔内レンサ球菌の界面電気化学的特性, 表面化学組成および表面超微細構造について, 細菌表面の zeta 電位測定, X線光電子分光 (ESCA) 分析および原子間力顕微鏡 (AFM) 観察によってそれぞれ解明し, それらの関連性を検討した. 被検細菌は, その界面電気化学的特性から zeta 電位が大きく, その pH 依存性の高い群 (Streptococcus rattus BHT および Streptococcus cricetus HS-6) と zeta 電位が小さく, その値が pH に依存しない群 (Streptococcus mutans OMZ175, Streptococcus mutans K-1 および Streptococcus sobrinus 6715) とに大別できた. 細菌の zeta 電位測定には, 光散乱式装置を用いるほうが顕微鏡式装置よりすぐれていた. 被検細菌表面の ESCA 分析によって, O_<1s>, N_<1s> および C_<1s> のスペクトルの形状およびピーク強度には各被検菌種間で差はほとんど認められなかったが, P_<2p> のピークは zeta 電位の大きい細菌表面にのみ認められた. この知見から, 細菌表面に存在するリン化合物は, 細菌細胞表面の電位の決定に著しい影響を与えることがわかった. 被検細菌表面の超微細構造を AFM によって水中で観察できた. すなわち, Streptococcus cricetus HS-6 (zeta 電位は大きい.) の表面には約2.5nmの針状突起物が認められ, またその表面は Streptococcus sobrinus 6715 (zeta 電位は小さい.) の表面よりも凹凸が大きく, ペプチドグリカン層の超微細構造はタイコ酸の有無によって違いがあった. 以上のことから, 口腔内レンサ球菌の zeta 電位および pH 依存性は菌種により異なり, zeta 電位の大きさは被検細菌表面に存在するタイコ酸量によって左右されていることが明らかとなった.
- 大阪歯科学会の論文
- 1994-06-25
著者
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