Mutans streptococciに関する界面電気化学的研究 : 表面特性に影響を及ぼす因子について
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概要
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Mutans streptococciのゼーク電位に影響を及ぼす因子を検索するとともに, その因子の変動によって起こるゼーク電位の変化がハイドロキシアパタイト(HAp)との間に働く表面ポテンシャルエネルギーにどのような影響を及ぼすかについて検索した. まず9種類の Mutans streptococciをpH, イオン強度および化学物質の濃度を変化させたリン酸緩衝液中に分散させ, 光散乱式ゼータ電位測定装置にて細菌のゼータ電位を測定した. 表面ポテンシャルエネルギーからみた細菌とHApとの付着のしやすさは, 最大反発力値(Vmax)によって評価した. また, 細菌に対する各化学物質の最小発育阻止濃度(MIC)および最小殺菌濃度(MBC)は, 液体培地希釈法にて判定した. その結果, 細菌のゼータ電位は, その血清型および増殖スピードと関連性があるとともに, 溶液の pHおよびイオン強度に影響を受けることがわかった. また細菌のゼータ電位は, 溶液中に PO_4^<3->が存在すると負に大きくなり, F^-, Al^-, Sn^<4+>あるいは chlorhexidineが存在すると負に小さくなった. しかし, MICおよび MBCの結果から, NaFあるいは chlorhexidineの存在による細菌のゼータ電位の変化は, その他のイオンの存在による変化と異なる原因であることがわかった. さらに, 細菌-HApの Vmaxは, ゼータ電位の大きい細菌の場合, pH, イオン強度ならびにPO_4^<3->, F^-, Al^<3+>, Sn^<4+>あるいは chlorhexidineの存在によって影響を受けるが, ゼータ電位の小さい細菌の場合, イオン強度のみに影響を受けた. 以上の結果から, Mutans streptococciのゼータ電位は, 溶液のpH, イオン強度ならびに多価の陽イオンなどの存在によって影響されることがわかった. また, 表面ポテンシャルエネルギーによって細菌のHApへの付着を阻止するためには, 溶液のpHを高く, またイオン強度を小さくし, しかも溶液中に多価の陽イオンを含まないことが重要であることがわかった.
- 大阪歯科学会の論文
- 1996-06-25
著者
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