う蝕経験と歯周組織状態との関連性

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う蝕を経験するという要因が, 歯周疾患のリスクインディケーターとなり得るのかを検討する目的で, う蝕経験状況とCPI値との関連性を横断的調査によって検索した.調査対象者は, 「被災地居住者成人に対する歯科健康診査」の受診者27, 683名であり, 本事業の診査のうち, 歯(う蝕)の診査およびCPIによる歯周組織の診査の結果を用いて, 被検歯単位および被検者単位で解析を行った.その結果, 被検歯単位の解析では, いずれの年齢階級においても, CPIコード0の割合は, 未処置(D)歯群<処置(F)歯群<健全歯群, また, コード3および4の割合は, 健全歯群<F歯群<D歯群の順に高くなり, 歯はう蝕を経験することによって, その歯の歯周組織の状態も悪くなることがわかった. 一方, 被検者単位の分析では, CPI最大値が大きくなるにしたがって, 1人平均のDMF歯数が多くなり, 両指数間に関連性のあることがわかった.また, CPIの最大値が大きくなっても, 1人平均のF歯数は変化しなかったのに対して, 1人平均のD歯数および喪失(M)歯数は増加し, とくにD歯数については著しく増加した.CPI最大値とう蝕経験状況を表す指数との間におけるSpearman順位相関係数は, CPI最大値と1人平均のD歯数との間で最も高くなり, とくに20〜29歳で顕著に高くなった.さらに, 多重ロジスティック回帰分析によって, CPI最大値が3以上の者を従属変数とした場合のオッズ比を算出した結果, 20〜29歳において, D歯を保有しない者に比べて, D歯を1歯以上保有する者は2.72. 3歯以上保有する者は3.55. 5歯以上保有する者は4.13, さらに7歯以上保有する者は4.37のオッズ比を示した.以上のように, D歯が存在することは, とくに20〜29歳の年齢階級において, 歯周疾患のリスクインディケーターとなることが明らかとなった.
大阪歯科学会の論文
2000-12-25

う蝕経験と歯周組織状態との関連性

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