浸漬したきゅうり果肉の各部位への食塩および糖アルコールの浸透が水分量,微細構造,および硬さに及ぼす影響
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概要
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輪切りにしたきゅうり果肉切片を10%食塩(N)と20%のアルコール(S)液,およびその混合液(N+S)に4℃で48時間にわたって浸漬し,果肉の微細構造と外観を観察し,また,各部位の硬さや水分量,食塩と糖アルコールの浸透濃度を測定し,これらの関係について検討した。その結果は以下のとおりである。1) Nに浸漬するときゅうりの外側の硬さが大きく減少し,Sに浸漬すると外側の硬さは僅かに減少するだけで,内側のそれはむしろ増加した。N+Sに浸漬すると上記の変化の両方が同時に起こった。2) きゅうりの部位に関係なく,硬さが減少したときには細胞構造が破壊されていることが顕微鏡により観察された。3) Nに浸漬すると,きゅうりの形態は縮んだが,Sに浸漬したときには縮みは起こらず,N+Sに浸漬すると最も大きく縮むことが観察された。4) 浸漬中,食塩はきゅうりの外側から急激に浸透して内側および中心に到達するが,これは糖アルコールが共存しても同じだった。糖アルコールは外側から内側,そして中心へと徐々に浸透し,部位による濃度差が常に認められた。これは食塩が共存していても同じだった。5) 果肉の水分減少量は,総合浸透圧の高い方が大きかった。また,Nに浸漬したときには,浸漬初期の間だけ外側の方が減少が大きく,内側そして中心部の順に小さくなっていた。
- 2001-08-20
著者
-
酒井 徹
東和化成工業株式会社食材開発研究センター
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大石 明美
東和化成工業(株) 食材開発研究センター
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野村 行子
東和化成工業(株) 食材開発研究センター
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大橋 且明
東和化成工業(株) 食材開発研究センター
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大橋 且明
東和化成工業(株)食材開発研究センター
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大石 明美
東和化成工業株式会社 食材開発研究センター
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大橋 且明
東和化成工業 食材開研セ
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