浸漬液の成分とその浸透圧がきゅうり果肉中の食塩,糖質,及び水分に及ぼす影響
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概要
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きゅうりの果肉切片を2.5〜10.0%の食塩と10.0〜40.0%のソルビトールを組み合わせて調製した9種類の溶液に浸漬し,浸漬によって起こる果肉中の食塩とソルビトール濃度,および水分量の経時的な変化を測定し,これらの相互関係について検討を加えた。この条件は,前回検討した浸漬液よりもさらに広い食塩の濃度範囲に渡っている。また,浸漬液の浸透圧との関わりについても調べた。得られた結果は以下の様になった。1) 浸透液中の食塩濃度が2.5%〜10.0%の間でも,果肉中への食塩の浸透は浸漬液中のソルビトール濃度には関係なく,食塩濃度が高いほど多かった。一方,ソルビトールの浸透は,共存する食塩濃度が低かったときはやや遅いが,ソルビトール濃度が高い程高かった。2) 果肉中への食塩とソルビトールの浸透濃度比は,浸漬液中の両成分の濃度比を良く反映していた。3) 果肉中に浸透する食塩の濃度は,浸漬液中の食塩の浸透分圧と極めて良い正の相関を示した。一方,ソルビトールの浸透濃度は,浸透液中のソルビトールの浸透分圧に依存するが,浸透分圧の高い方がやや浸透しにくくなった。4) 浸漬に伴って起こる果肉の水分量の変化と果肉中に浸透する食塩またはソルビトール濃度との間には良い負の相関があった。5) 果肉の水分量の減少と浸漬液の総合浸透圧との間に良い正の相関が成立し,これは食塩とソルビエートの濃度や混合比とは関係なかった。これらの事実は、きゅうりの漬物(浅漬け)の品質を調節するために有用であると考える。
- 1999-11-20
著者
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大石 明美
東和化成工業(株) 食材開発研究センター
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野村 行子
東和化成工業(株) 食材開発研究センター
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大橋 且明
東和化成工業(株) 食材開発研究センター
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大橋 且明
東和化成工業(株)食材開発研究センター
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金子 由公
東和化成工業(株) 食材開発研究センター
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畑山 静夫
東和化成工業(株) 食材開発研究センター
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大石 明美
東和化成工業株式会社 食材開発研究センター
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大橋 且明
東和化成工業 食材開研セ
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