6自由度下顎運動再現ロボット(6DOF/R0)の試作
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
顎口腔機能を正確に把握するため種々の検査機器が開発されているが, 顎運動時の咬合状態を生体から直接観察することは難しい.そこで, 下顎運動を忠実に再現できる機構を開発し, 生体から得られた6自由度顎運動データによって, 下顎歯列模型を実運動として再現させるロボットを試作した.本システムは, 下顎模型設置部, 駆動装置およびこれらの連結部からなり, 回転入力型パラレル機構によって6自由度の動作が可能である.6自由度顎運動測定器(ナソヘキサグラフ, JM-1000T, 小野測器)によって採得した頭部に対する下顎運動の3次元座標データを制御用パーソナルコンピュータでロボット座標データに変換させ, これをロボットに転送した.歯列模型の設置位置は, 計測時に用いたフェースボウを介して, 3次元座標指示器によって機械的に決定した.3次元測定器(UMC850S, Zeiss)を用いた動作試験をX, Y, Z軸方向へ±14mmの範囲で行った.さらにロボットで再現させた運動をJM-1000Tによって再測定し, 比較検討した.ロボットによる再現速度は, 生体の約1/1.6であった.動作試験の結果, 移動方向と移動量によって誤差の発生が異なり, 最大誤差は約1mm認められた.JM-1000Tにより記録されたヒト顎運動軌跡とロボットによる再現運動軌跡は近似した形状を示したが, 移動距離においてはロボットの方がやや短かった.顎運動を詳細に観察するためには, 機構部および模型設置方法の精度向上を計る必要性が認められた.今回試作した比較的簡易な構造のロボット(6DOF/R0)において, 6自由度で下顎運動を概ね再現でき, 視覚的認識の一助となることを示した.
- 日本顎口腔機能学会の論文
- 2001-01-31
著者
-
脇本 康夫
鶴見大学 歯学部 矯正学教室
-
桑原 洋助
鶴見大学 歯学部 矯正学教室
-
脇本 康夫
鶴見大学歯学部歯科矯正学講座
-
福井 只美
鶴見大学歯学部歯科矯正学講座
-
福井 只美
鶴見大学 矯正
-
福井 只美
鶴見大学歯学部歯科矯正学教室
-
鶴田 正彦
鶴見大学歯学部歯科矯正学講座
-
桑原 洋助
鶴見大学歯学部歯科矯正学教室
-
常盤 肇
鶴見大学歯学部歯科矯正学講座
-
高村 昭生
(株)小野測器
-
鶴田 正彦
鶴見大学歯学部歯科矯正学教室
-
桑原 洋助
鶴見大学歯学部矯正学教室
-
村田 邦弘
鶴見大学歯学部歯科矯正学教室
-
常磐 肇
鶴見大学歯学部矯正学教室
関連論文
- (5)ディーゼル噴射ポンプの多段噴射率・噴射量測定装置の開発(技術,日本機械学会賞〔2007年度(平成19年度)審査経過報告〕)
- RED system を応用して上顎骨前方移動を行なった右側口唇口蓋裂患者の術後経過
- 中間顎骨切り整位術を併用した二期的顎裂部骨移植術
- 顎口腔機能データベースシステムの開発 : 第1報 システムの試作と解析パラメータの検討
- 側面頭部 X 線規格写真より見た骨格性下顎前突外科症例患者の前頭洞の大きさについて
- 骨格性下顎前突症における外科的矯正治療後の軟組織側貌の予測
- 女子骨格性下顎前突の思春期における顎顔面頭蓋の形態変化について : 矯正単独治療症例と外科的矯正治療症例の比較
- 片顎抜歯を行った成人下顎前突の2治験例
- 歯牙腫により著しく転位・埋伏した上顎犬歯の牽引を行った治験例
- 成人開咬者の咀嚼運動解析 : 物性の異なった食品を咀嚼した時
- チームアプローチにより唇顎口蓋裂にインプラントを応用した1例
- 鶴見大学歯学部附属病院矯正科の過去 25 年間における抜歯部位および頻度についての検討
- マウス舌筋発生過程におけるBMP2, BMP4およびその受容体の発現
- 顎矯正手術における上顎骨位置決めの精度に関する検討
- 中間顎骨切り術および顎裂部骨移植術を併用し咬合形成を行った両側口唇顎裂の1症例
- 光重合レジンで接着したメタルブラケットの接着強さに及ぼす照射時間の影響
- 歯列不正及び反対咬合患者の音声品質評価の一検討
- 歯周病罹患老齢ラットにおける実験的歯の移動に伴う破骨細胞の動態
- マルチブラケット装置装着患者の臨床的カリエスリスク評価
- 外科的矯正治療を行った骨格性下顎前突症例の形態的, 機能的経時評価
- 6自由度下顎運動再現ロボット(6DOF/R0)の試作
- 頭蓋顎顔面歯槽部三次元座標測定装置の性能評価
- 本教室で開発した顎口腔機能検査システムとその臨床評価
- 至適矯正力を多様な歯の移動条件から評価する研究(第1報) - 傾斜移動を行った際の歯の移動量,歯根吸収,変性組織量による比較 -
- 三次元形状計測システムEMS98-3Dによる口腔模型の計測 : 上顎急速拡大装置による口蓋の形態変化
- 歯根膜のアルカリ性ホスファターゼはphosphatidylimsitoleを介して歯根膜線維と連結している
- 至適矯正力を多様な歯の移動条件から評価する研究(第 2 報) : 傾斜移動を行った際の圧迫歯根膜に出現した破骨, 破歯細胞の吸収活性による比較
- 至適矯正力を多様な歯の移動条件から評価する研究(第 1 報) : 傾斜移動を行った際の歯の移動量, 歯根吸収, 変性組織量による比較
- スプリント療法後に矯正治療を行った若年者の片側クローズドロックの1治験例
- 持続的機械刺激を加えた歯根膜における新生細胞の分布
- 骨格性下顎前突症における下顎 symphysis の形態変化について : 縦断的資料による
- 顎機能の臨床的診査 : ナソヘキサグラフを用いて
- 正常咬合者の開閉口運動における下顎切歯および下顎頭の運動解析
- 成熟雄性ラットの歯の移動の血清BGPへの影響
- 圧力変化法によるエンジンの圧縮比測定装置の開発
- 圧力変化法によるエンジンの容積測定装置の検討
- 汎用型顎口腔機能総合解析システムの開発
- 蝶後頭軟骨結合の磁気共鳴映像による観察
- 歯列の内側に矯正器具を装着した患者の音声品質と音響分析パラメータの相関の検討
- 外科的矯正治療を行った骨格性下顎前突症の一治験例
- B-20 9 : 10 歯周病に罹患した老齢ラットの実験的歯の移動時に認められた組織変化について
- 25. 歯の移動を行なった際の成熟ラット臼歯歯根膜の未固定非脱灰凍結切片の観察
- 正常歯根膜および実験的歯の移動の際の歯根膜の走査電子顕微鏡的研究
- 2-phase treatment を行った上顎前突2治験例
- ナソヘキサグラフの下顎フェイスボウの振動に関する研究
- 成人開咬者と個性正常咬合者の咀嚼・嚥下時における口腔周囲筋筋活動の比較
- 術前矯正治療における下顎骨および下顎頭の位置変化について
- 小臼歯抜歯を行わない下顎臼歯遠心移動による治療法について : 思春期性成長期以後の反対咬合 4 治験例での検討
- 光学式顎運動測定装置(JM-1000T)の臨床的測定精度に関する研究
- 骨格性下顎前突症患者における下顎枝矢状分割術前後の顎運動機能の変化
- 包括医療としての矯正治療の実際 : 保存,ペリオ,補綴臨床に関連して(特別講演要旨,学術大会,第28回北海道矯正歯科学会大会)