成人開咬者と個性正常咬合者の咀嚼・嚥下時における口腔周囲筋筋活動の比較
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概要
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本研究では, 開咬者群および正常咬合者群に硬さの異なる2種類の寒天試料をそれぞれ口腔内に保持させた状態から嚥下まで自由に咀嚼させた時の左右の咬筋, 口輪筋, オトガイ筋, および顎舌骨筋の筋電図と積分筋電図を記録し比較検討した.本研究で用いた寒天試料は舌と口蓋により圧縮粉砕される0.6%の寒天試料と歯で粉砕, 咀嚼される4%の寒天試料を用いた.その結果, 1)正常咬合者群では口唇安静時および中心咬合位時に各筋の筋活動はほとんど認められないのに対して, 開咬者群では口唇安静時にオトガイ筋の不随性の筋活動が認められ, 中心咬合位時には口輪筋とオトガイ筋の活発な活動が認められた.2)開咬者群では, 寒天試料の口腔内保持時に口輪筋, オトガイ筋および顎舌骨筋の筋活動が認められた.3)開咬者群と正常咬合者群の4%寒天試料咀嚼時の咀嚼回数および粉砕・咀嚼時間には有意な差は認められなかった.4)開咬者群では, 舌の動きが大きく関与する0.6%寒天試料を圧縮・粉砕し舌後方へ運ぶ時間および4%寒天試料咀嚼後の粉砕された食塊が舌により舌後方へ輸送される(Stage II transport)時間が正常咬合者群に比べ有意に長い値を示した.5)開咬者群では, 寒天試料の嚥下時に口腔周囲筋(口輪筋, オトガイ筋)および顎舌骨筋に活発な筋活動が認められた.以上の結果より, 開咬者は日常生活における咀嚼・嚥下時の口腔周囲筋の活動のみならず舌後方への食塊輸送機能が正常咬合者と異なることが示唆された.
- 日本矯正歯科学会の論文
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