長期無施肥水田および施肥水田における土壌の窒素ならびに徹生物相の周年変動
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概要
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記事区分:原著[Author abstract]From 1987 to 1989, we measured changes in soil nitrogen and microflora in two kinds of paddy fields, one not fertilized for 40 years and one fertilized regularly. 1) The soil total-N content was significantly higher in the fertilized field (F-field) than in the non-fertilized field (NF-field); in both fielis, the content increased from starting in the maximum-tillering stage until the heading and flowering stage, then temporarily decreased in the middle growing stage, and then returned to the initial level. The soil total-C reached a maximum in both F-and NF-fields at the ripening stage; its variation was smaller than that of total-N. Thus, the C/N ratios ranged from 7.0 to 8.0 over the growing period of the rice plants. 2) Fungal populations were significantly larger in the NF-field than in the F-field while the rice plants were growing. Actinomycetes were much more abundant in the F-field than in the NF-field. The total number of bacteria increased in the NF-field at the middle growing stage of the rice plants. Consequently, the B/F value (bacterial number/fungal number) in the upper plow layer was high in the NF-field. The numbers of anaerobic bacteria in the NF-field were far below those in the F-field through the 2-year period, which reflected the extent of the oxidative state in the whole soil horizon of the NF-field because of its continuous supply of irrigation water. 3) The genus Paecilomyces was abundant in the NF-field, and the genera Paecilomyces and Trichoderma were both abundant in the F-field. The fungal florae in the F-field were less abundant than those in the NF-field. Of the actinomycetous florae, the genus Strepotomyces was most numerous in both fields, followed by the genus Nocardia.[著者抄録]長期無施肥田(40年間継続)ならびに施肥田土壌の窒素と微生物相の周年変動について、昭和62年度より3カ年にわたって比較検討した。1)作土表層の全窒素含量は、水稲生育の全期間を通じ明らかに施肥田の方が無施肥田よりも高く推移し、特に7月(最高分けつ期)から8月(出穂・開花期)にかけてかなり増加したが、水稲の生育後期には減少した。一方、全炭素含量は、いずれの供試田においても9月(登熟期)に最大に達したが、その変動幅は全窒素含量のそれに比べて小さかった。2)作土表層の微生物相の時期別変動を検討した結果、糸状菌数は無施肥田で、放線菌数は施肥田でそれぞれ多かった。また、全細菌数は概して、無施肥田で多かったが、水稲の生育後期には両供試田ともにその有意差が認められなくなった。したがって、作土表層のB/F値(全細菌数/糸状菌数)は無施肥田の方がやや大であった。嫌気性菌数は水稲の全生育期間を通じ、明らかに無施肥田の方が施肥田より下回った。この結果は、無施肥田が掛け流し式のかんがいシステムであることから、全層における土壌の酸化状態をよく反映していた。3)表層土壌における糸状菌フロラとその出現頻度は、無施肥田ではPaecilomyces属が、施肥田ではPaecilomyces、またはTrichodermaの各属がそれぞれ最も高く推移し、本供試田の優占的糸状菌であることが確認された。また、無施肥田と施肥田との糸状菌フロラの相対比は、ほぼ2:1の割合で推移したことから、明らかに無施肥田の本フロラ構成は豊富であった。4)同様にして、放線菌フロラとその相対比は、無施肥田と施肥田とでほぼ等しく、顕著な差異は認められなかった。両供試田ともに、Streptomyces属が明らかに出現頻度が最も高く、次いでNocardia属であった。
- 近畿大学の論文
- 1991-03-15
著者
-
川村 三郎
近畿大・農
-
杉野 守
近畿大学農学部 農学科
-
蒲田 昌治
近畿大・農
-
川村 三郎
近畿大学農学部
-
杉野 守
近畿大学農学部
-
杉野 守
近畿大学農学部農学科植物生理学研究室
-
蒲田 昌治
近畿大学農学部農学科植物生理学研究室
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