一粒系コムギの色素体突然変異種の試験管内無菌培養による花成と成長の研究
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概要
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1.試験管内のホワイト氏塩類成分を含む寒天培地(基本培地)上に,普通系コムギの12品種の種子を無菌的に播いて培養すると,適当な温度と日長下でそれらはすべて開花し,圃場栽培の場合の品種特性とほぼ平行的な花成反応を示すことがわかった。2.このような基本培地に異った濃度のショ糖や酵母抽出物(YE)あるいはカゼイン加水分解物(CH)を加えて一粒系コムギの正常緑色植物(「緑色」)とその色素体突然変異植物である「アルビノ」および「カロチナ」を無菌培養した。通常の培養条件下で,「緑色」の約1/5の葉緑素量をもつ「カロチナ」とそれをまったく欠く「アルビノ」は,生育を長期間維持することにより「緑色」と同じように光周的花成反応を示した。ただし,自然日長に夜間補光をした長日下で,主軸葉数と花芽発達段階からみた花成反応速度は,「緑色」>「カロチナ」>「アルビノ」の順であり,また栄養生長の大きさ(乾重,茎長)もそれと平行的な関係を示した。3.「緑色」と「アルビノ」を比較的弱光の全人工照明下で育てると,「緑色」は培地のショ糖濃度が2%以上で,「アルビノ」は6%以上でそれぞれ100パーセントの花成率がみられた。また「緑色」「アルビノ」共にショ糖添加濃度が8, 10%まで増加するに伴い花成反応(速度)は大となった。しかし,YEやCHを高濃度に添加すると両者とも乾重がいちじるしく増加したが,逆に花芽分化が抑制されて,栄養生長と生殖生長の対立的な関係が示された。4.日長刺激に対する「アルビノ」の花成反応は「緑色」と基本的に異らない。ただし花芽分化速度は,同じ実験条件下では常に「緑色」>「アルビノ」であった。しかし,主明期の光が人工照明光の場合は自然光の場合にくらべて両者の花芽分化速度の差は少くなった。5.「アルビノ」と「緑色」を全暗黒下で無菌培養すると,両者共典型的な黄化現象(Etiolation)を示し,茎長(節間長)がいちじるしく大となった。これらのことは,日長刺激感受性とも関係して,フイトクロームが関与していることを示唆する。
- 近畿大学の論文
- 1980-03-15
著者
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