土壌中におけるリン酸一カルシウムの行動に関する研究(第2報) : 希薄なリン酸一カルシウムを含む土壌溶液のイオン平衡について
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概要
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[Author abstract]In order to clarify the reaction of soil and phosphate, main chemical components and ion activities in soil solution which added 5~5OO ppm. MCP have been discussed about three typical soils. Condition of this experiment would be assumed for reaction in plant root regions of soil and dissolved MCP practically. Generally, the variety of determined components in equilibrated solution with elapsed days was largest treatment for Kuroboku (Daisen volcanic organo soil). This variety seemed to be concerned about intensity of phosphate reaction in soil. But ionic activities in each equilibrated solution decreased the variety to each other MCP concentration in the same soil. Impossibility of formation of crystalline basic calcium phosphate such as DCPD, OCP and HAP is taken to indicate from the phosphate and lime potential with the exception of Akaonji (Kochi volcanic mineral soil) at high MCP concentrated treatment. Ionic activities of calcium and dihydrogen phosphate brought the positive mutual relation. Activity products of H_2PO^-_4 and Al^<3+> or Fe^<3+> in the equilibrated solution did not showed the pure pK_sp of variscite and strengite, and the results indicated less than pure one respectively. But formation of variscite and strengite in this conditions was thought of as possible because of each ionic activities were super-saturated condition as compare with crystalline phosphate.[要約]リン酸-カルシウム-水和物(MCP)の希薄溶液と三種土壌を作用させ主要イオン成分の溶存状態から溶液平衡論的に土壌とリン酸との反応を明らかにしようとした。本実験条件は慣行施用量の過リン酸石灰が溶解浸透して根圏土壌中での起り得るリン酸と土壌の反応を考えて施肥リン酸の土壌中における浸透拡散域の一般的反応を仮定したものである。溶存成分の測定値で一般に経日的に変化の大きかった土壌は大山黒ボク土壌で変動の小さいのは愛知土壌であった。測定成分の各処理による変動の大きさが土壌とリン酸の作用性に関係するが、諸活量の溶存状態は一般に各処理間の変化で測定成分量の変化より小さくtJ:る結果を得た。塩基性リン酸カルシウムの生成の可能性は高知赤オンヂ土壌の高濃度MCP処理を除き存在しないと思われる。カルシウムとリン酸の溶存性は密接に関連し、最も影響を受けた土壌は愛知土壌であった。MCP処理濃度の増加はいずれの土壌処理に対してもphosphate potentialを減少させたが、lime potentialは愛知、大山黒ポク土壌で減少し高知赤オンヂ土壌で増加の傾向を示した。H_2PO^-_4とAl^<3+>およびFe^<3+>イオンの活量の溶存平衡系から求めた溶解度積は純粋なVarisciteおよびStrengiteの結晶からもたらされるものでなく、pKsp値としてともにいずれの処理区でも小さい値であった。しかしこれらの値はそれぞれの結晶の構成イオンについての溶存性は両固相 (VarisciteとStrengite)に対して過飽和の状態であり、生成の可能性は存在すると考えられた。
- 近畿大学の論文
- 1972-03-15
著者
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