在宅高齢者と家族へのチームアプローチを支える「在宅ケア連携ノート」の開発と評価

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在宅高齢者ケアにおける学際的チームアプローチ,および高齢者と家族の生活の質の向上に寄与する在宅ケア連携ノートを開発した。開発の方法は次のように行なった。すなわち,1)共同研究者による開発意図の明確化,2)現在家庭で利用されている類似ノートの問題点の抽出,3)試作連携ノートの作成と高齢者および家族による試用,ならびに2県の特定地域の事例を担当する介護支援専門員へのフォーカスグループインタビュー,ノートの再評価と最終版連携ノートの作成である。在宅高齢者と家族への試行調査による評価は2回行われ,第1回調査は6名の在宅高齢者に1週間,第2回調査は71名の在宅高齢者に1ヵ月間にわたる本連携ノートヘの記載後,評価を得た。また,調査対象者に在宅においてケアを提供した専門職,デイサービス機関の職員にもノートヘの記載を依頼した。評価は在宅高齢者60名,介護支援専門員を含む専門職66名,共同研究者中の事例担当者7名から得られ,以下の知見が認められた。1)高齢者の半数以上から肯定的な反応が得られ,在宅ケア連携ノートは使いやすいと評価された。表紙に設けた対象者の写真を挿入する袋が最も効果的に利用されていた。2)在宅ケア連携ノートヘの記載を行った専門職種は,ホームヘルパー,訪問看護婦,医師,デイサービス職員,学生などで,対象者は複数の専門職により担当されていた。専門職による評価から,在宅ケア連携ノートは利用者と各専門職をつなぐ媒体となっており,「伝言」欄が最も効果的に活用されていたことが示された。また,介護支援専門員からは,在宅ケア連携ノートはサービスのモニタリング(監視)のための情報を収集することに役立つと指摘された。最後に残された課題には,身体状況等を記録する経過記録表を本連携ノートに含むか否かの検討であった。今後,本連携ノートの長期使用による利用者ならびに高齢者ケア専門職チームヘの効果の明確化,および効果的な本連携ノートの使い方に間する地方自治体の介護支援専門員への教育的働きかけを行う必要があると考える。
聖路加看護大学の論文

在宅高齢者と家族へのチームアプローチを支える「在宅ケア連携ノート」の開発と評価

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