<原著>QualityofLifeの評価構造に関する一考察
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
健常成人を対象としてWH0/QOL26と筆者が試作した基本的QOL評価指標(BAQL)を用いて, 両者の因子構造と因子問関係を解析し両者の共通性からQOLの評価構造について検討した.両評価表の平均値(QOL得点)間には強い相関が認められ(P<0.01), ほぼ同質の評価表であることが判明した。対象群を2群(学生と教職員)に分けて得点傾向をみると, 両評価表ともに有意(P<0.01)に中年層の得点が高く, 健常成人の場合は年齢に比例して高得点傾向になることが示唆された.また, 2群の因子構造に若干の相違がみられたことから, 年齢がQOLに影響を及ぼす要因となることが推察され, 同時にQOLの概念と評価において時間軸の存在を確認するものであると考えた.分析した因子構造は両評価表ともにおおよそ類似した内容によって構成され, それぞれの因子は相互に強い関連性(r係数, P<0.01)をもっていることが確認され, 特にBAQLは評価の原則に準拠する構造であることを認めた.また, 因子問の関連性には距離的な相違があることが推察されたため, QOL評価における階層的構造が示唆された.これらの因子のうち心理的安定度などの内的要因の影響度が大きい結果を示したことから, QOL評価の枠組みとして個人の内面性に関する項目設定が強調され, 環境などの外的要因は内的要因への影響因子として位置づけられた。また, 外的要因に関する評価項目は設定者側の思いこみ(identityspread)で作られる可能性があることが示唆された.
- 川崎医療福祉大学の論文
- 1999-12-25
著者
-
福本 安甫
九州保健福祉大学保健科学部作業療法学科
-
江草 安彦
川崎医療福祉大学
-
江草 安彦
川崎医療福祉大学・医療福祉学部
-
福本 安甫
九州保健福祉大学
-
関谷 真
川崎医療福祉大学医療福祉学部医療福祉学科
-
江草 安彦
川崎医療福祉大 医療福祉 医療福祉学科
関連論文
- 認知症高齢者のQOL向上を目的としたリハビリテーションについての研究
- 通所施設職員の負担感とQOLに関する研究
- スポーツ飲料の摂取が中強度の運動中の脂肪燃焼率に与える影響について
- 在宅痴呆性高齢者の住環境
- 主観的高齢感とQOLとの関連
- ブラジルにおける老人に対する意識調査
- 日常生活に対する主観的満足度と日常身体活動との関連性について
- 公法人立重症心身障害児施設入所児(者)の実態調査の分析 : 施設入所児(者)の死亡
- 公法人立重症心身障害児施設入所児(者)の実態調査の分析 : 病因別発生原因とその経年的変化
- 公法人立重症心身障害児施設入所児(者)の実態調査の分析 : 大島の分類からみた施設入所児(者)の推移
- Aureobasidium pullulans の産生するβ-1.3-1.6グルカンを免疫して得られマウス腹膜腔内浮遊細胞の特徴
- 学生の考える高齢者QOLに関する一考察 : 高齢者QOLと比較して
- アルツハイマー型および血管性軽度認知障害(MCI)の神経心理学的徴候 : 日本版COGNISTATによる認知障害プロフィールの検討
- QOLの視点からみた新入生の入学動機と意識変化の検討
- 軽度認知症者の主観的幸福感に関する研究 : 認知度による2対象群の比較
- 自閉症障害児のための感覚調整の特徴を生かした作業療法
- 脳血管障害の日常生活遂行能力に関する予後予測の検討 : Fugel-Meyer 評価法とFIMを用いて
- ディスカッション (シンポジウム いきいき人生をきずくために--九州保健福祉大学のめざすQOL(クオリティ・オブ・ライフ))
- 座位姿勢と咬合力の関連について : 座位姿勢が摂食・嚥下に与える影響 第1報
- 左半側視空間無視の学習能力低下に対する反復訓練の有効性 : 脳血管障害4症例を通して
- 作業活動時の坐位姿勢に関する研究(第2報) : 食事動作時の坐位姿勢について
- 頸部肢位による立ち上がり動作時の股関節・膝関節におけぼす影響について
- 痴呆性高齢者の類型化
- デイサービス等利用者のQOL
- QOL-Dを用いた施設入所痴呆性高齢者のQOL評価
- 痴呆高齢者の介護負担と QOL への一考察 : 一症例を通して
- QOL定量評価法の開発 : BAQL試表IIの妥当性と信頼性
- 倫理規範と人間の実存的構え
- 強度行動障害児者のケアシステムに関する研究 : 精神薄弱者更生施設および重症心身障害児施設との関わりから
- 認知症高齢者のQOL向上を目的としたリハビリテーションについての研究
- ヒト健康評価のためのglyceraldehyde-3-phosphate dehydrogenase(GAPDH)モノクローナル抗体の作製
- 精神分裂病者における視覚認知訓練と探索眼球運動の変化 : 電車路線図料金表訓練シートを用いて(第3報)
- 精神分裂病者の表情認知機能と課題遂行能力 : 探索眼球運動の解析を用いて
- 社会生活における統合失調症者の視覚認知機能 : 電車利用のビデオを用いて(第4報)
- QOL評価試表の妥当性と信頼性の検討 : WHO/QOL26との相関を通して
- 青年期のQOL特徴 : QOL調査票を用いた世代別の比較
- 高齢知的障害者でのQOL意識に関する研究
- 高齢者作業能力測定装置の開発
- 日本における障害児の地域での処遇について (1988.国際児童青年精神医学会セミナ-特集号-1-)
- 障害児の養護
- 日常生活における価値論の位置
- 「私」という存在としての判断力
- 専門知識の制度的社会化と倫理の形成
- 生命倫理は教養科目か(第7回日本生命倫理学会年次大会ワークショップ「医療従事者のための生命倫理教育」発表原著)
- 実感主体の自分 : 精神的である自己意識
- 全体概念としての生命 : アトム論的でない倫理に向けて
- 価値と規範の基礎 : 見えない実在性
- 内なる環境としての福祉
- 生命倫理をめぐって : 人間の倫理性とは
- 高齢者の作業能力評価に関する研究
- 高齢者の作業能力評価に関する研究
- 医療福祉の歴史と医療福祉教育論(医療福祉学展望)
- 巻頭言
- グループホームと特別養護老人ホームにおける職員の職業性ストレスについて
- QOL評価と地域文化
- 21世紀の障害児福祉
- 関谷真先生追悼文
- 福祉の思想と風土
- 21世紀の障害児福祉
- 障害者福祉の潮流(1) : 知的障害者福祉
- 高齢者の作業能力測定装置の開発
- 巻頭言
- QOL評価における影響要因の検討
- 基本的QOL評価尺度の開発-健常者を対象として-
- QualityofLifeの評価構造に関する一考察
- 細胞骨格粉砕剤(サイトカラシンE)によるインターロイキン8(IL-8)の産生
- 在宅高齢者および障がい者の地域支援を考える(1) : 地域包括支援センターの取り組みに関する文献研究(保健科学部)
- QOL評価における測度設定の再検討
- 祖父母の子育て参加が母親の子育てに与える影響
- 地方小都市住民のQOLに関する一考察 : 公開講座等受講生を対象として
- デイケアおよびデイサービス通所者のQOLに関する研究
- 少子高齢化先進国・日本の介護保険制度 (特集・世界の介護)
- PC12m3細胞の短波長紫外線照射によるp38MAPK経路を介した神経突起の誘導
- 介護保険法とQOL (特集 介護保険制度の実情と取組--介護保険法が施行されて)
- 医療福祉の課題と展望 (医療の基本ABC--日本医師会生涯教育・基本的医療課題) -- (医療福祉)
- 治療用上肢装具の装着状況調査とコンプライアンス要因の検討
- 世界に先駆ける旭川荘の実践(その1) : 看護・医療・福祉の融合
- 介護福祉士養成の見直し(2002年中国地区公開講座・基調講演)
- 神経成長因子非誘導PC12変異細胞に対する超低周波振動音刺激による神経突起の誘導