<原著>「私」という存在としての判断力
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概要
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あらゆる人間事象には, 「私」が主体者として存在する.この「私」は自我でも自己意識の場としての存在という意味ではなく, むしろ, それらの意識の根底に現れる主体者という意味である.「私」は, 関心と配慮の及ぶ方向に開かれた世界を持っていて, その世界は他者と関わる自分自身を含んだものである.これを「私」の地平(horizon)と呼ぶ.この世界には価値として人が選択した事象が具体的に実現され, 関わり合った複雑な纏まりとして現れる.善なる方向への意志を持ったものである, 人の価値選択は, 行動として現れるとき意志のカとして現れる.従って, 世界が善の方向に向かって, 人間の福祉的状態を目指し, かつ, それを実現するのはこの意志のカといってよい.この意志の力は, 判断基準(規範)に依って価値判断しながら選んだ価値実現を推進する.社会システムはそれ自身の法則によって自律することだけでは維持できない.そこでは, しばしば人のコミットメントのカの働きが要請されるのである.
- 川崎医療福祉大学の論文
- 1999-06-25
著者
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