ブラジルにおける老人に対する意識調査

概要

ブラジル市民の老人に対する意識を明らかにするために, サンパウロ州に在住する10歳代から80歳代の日系ブラジル人(以下日系とする)105名, ポルトガル系ブラジル人(以下ポルトガル系とする)126名の男女231人にアンケート調査を行い以下の結果を得た。 老人に関する理解度を問う項目で, 老人の就労理由として「生活に困るから」と回答した者はポルトガル系63.8%, 日系23.8%で著明な差がみられた.ブラジルでは, 就学年数8年以下という義務教育以下の低学歴労働者が就業者全体の62%を占めているのに対し, 日系人の大学就学率は25%ときわめて高く, 所得の格差が著しいことが回答に反映していると考えられる. 老人に対する態度を問う項目において, 全対象者と著者らが以前に調査した日本の対象者と比較すると, 全体的にブラジルの方が老人に対する好意的意識は強かった。この背景には, 拡大家族形態を基盤とした疑似家族的な人間関係を持つブラジル社会特有の共同体の存在があり, この共同体の規範がブラジル人の社会規範として生きている状況がうかがえる.しかし, 年代間で比較すると, 年代の上昇にともない, 老人に対する家族や近隣の協力に対して肯定的回答が多くなっている反面, 若い年代層では共同体に対する帰属意識が弱まり, 社会意識に変化が生じていることがうかがわれる.

著者

江草 安彦 川崎医療福祉大学
佐久川 肇 川崎医療福祉大学医療福祉学部医療福祉学科
末光 茂 川崎医療福祉大学
本保 恭子 ノートルダム清心女子大学
江草 安彦 川崎医療福祉大 医療福祉 医療福祉学科
末光 茂 川崎医療福祉大学医療福祉学部医療福祉学科
佐久川 肇 川崎医療福祉大学
末光 茂 旭川荘医療福祉センター
末光 茂 旭川荘療育センター児童院 : 川崎医療福祉大学医療福祉学部医療福祉学科

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