<原著>視能訓練士における大学教育の自己点検と評価

概要

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川崎医療福祉大学(以下, 医福大)は, 平成3年4月に日本で初の視能訓練士(orthoptist, 以下ORT)の4年制大学として設立され, 平成13年4月に10周年を迎えた.また, 視能訓練士法が設立されて30年になり, 最近の医学・医療の進歩や少子高齢, 高度情報社会の要請に応えるためには, 30年前に制定されたカリキュラム内容では十分とはいえなくなった.そこで, 医福大医療技術学部感覚矯正学科視能矯正専攻1〜5期生を対象にアンケートによる実態調査をして, 卒前教育とのつながりについて自己点検と評価を行った.発送数は126通, 回収数は77通, 回収率は62.6%であった.集計方法は, 単純集計およびクロス集計で, 一部点数化による割合算出をした.その結果, 臨床に携わるORTは86.6%で, 業務内容は視能矯正業務と眼科に関わる検査に重点をおく施設が多かった.ORTが関わる疾患は, 多い順に屈折異常, 斜視・弱視, 白内障, 緑内障であった.勤務先を選択する際の優先条件は, 在学中は良い指導者・先輩がいることであったが, 就職後は, 人間関係が円滑であることに変化した.卒前教育について, 在学中に学び, 仕事で役立つのは基礎的および専門的な学術的知識(43%), 医療人としての態度・マナー等の情意教育(35%)であり, 誇れるのは学術的知識(50%), 情意教育(30%)であった.また, 医福大の専門科目, 基礎科目, 特色ある科目が仕事上役立っているというORTの評価が得られた.ORTは医療専門職であるため, 広い学術的知識, 優れた技術および豊かな人間性が必要とされる.したがって, 医福大の特色である基礎医学と医療福祉に重点を置いたORT教育は, 是非とも必要であり, 在学中学んでおきたかった技術は, 卒後の臨床経験および自己啓発によって磨かれると考えられる.点検・評価の結果は, ORTの大学教育の改善および改革に結びつけていくことが必要である.
川崎医療福祉大学の論文
2001-08-25

<原著>視能訓練士における大学教育の自己点検と評価

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