反応動作直前に出現する抑制現象の発達
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概要
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It has been observed that the premotion silent period (psp) appears just before a rapid voluntary movement. The present study was designed to investigate the developmental changes in appearance of psp observed during reaction movement of the whole body. Subjects were 143 healthy males and 125 healthy females aged 5-18 years, and their physique (body height, body weight, skinfold thickness) and the reaction movement of the whole body were measured. On the measurement of the reaction movement, they were asked to maintain a standing posture with knee joint flexed at about 50 degrees on the force plate and to extend their knee joint responding to a flashing lamp as quickly as possible. The EMG activities of m.vastus medialis and m.biceps femoris were recorded by using bipolar surface electrodes and vertical force curve was simultaneously measured by using a force plate. The rate of appearance in psp increased with age in both sexes. The latency of psp shortened abruptly with age by 12 years in both sexes. The duration of psp shortened with age in both sexes. Using the age 18 figures as a base measurement, the relative values at age 5 were calculated. Rate of appearance in psp was about 50%, latency of psp was about 300%, and duration of psp was about 150%. These results suggested that nervous switching mechanism developed similarly with age in both sexes but the development of the latency of psp was more immature than the rate of appearance in psp or the duration of psp. The movement time shortened abruptly with age by 12 years in both sexes. The vertical peak force and the rate of tension rise increased with age in males, but didn't increase from 12 to 18 years in females. Relative values of the movement time at 12 years based on 18 year old males was about 100%, the vertical peak force was about 76% and the rate of tension rise was about 75%. These results suggested that the developmental process of muscular output system was different from the development of agility ability purposed quick movement system, and the former was more immature than the latter.本研究は、5-18歳の健常な男子143名、女子125名を対象として、全身反応動作時に出現する内側広筋の動作前抑制現象およびこの時に発揮された床反力の加齢的変化について横断的に観察し、次のような結果を得た。PSP出現率は、男女とも加齢に伴って有意な増加を示した。PSP出現潜時は、男女とも5歳から12歳まで急激に短縮し、その後は緩慢な短縮となり、男女とも有意な短縮を示した。PSP持続時間は、男女とも加齢に伴って有意な短縮を示した。18歳を基準とした5歳のPSP出現率の相対値は約50%、PSP出現潜時は約300%、PSP持続時間は約150%であった。これらの結果は、主動筋の動作前抑制機構が男女とも加齢にともなって発達し、PSP出現潜時の発達がPSP出現率やPSP持続時間に比較して極めて未熟であることを示唆している。動作時間は、男女とも加齢に伴って5歳から12・13歳にかけて急激に短縮し、その後は緩慢な変化となり、男女とも有意な短縮を示した。最大垂直分力と床反力上昇率は、男子では加齢に伴って増加し、女子では12歳以後は緩慢な変化となったが、男女とも有意な増加を示した。最大垂直分力と床反力上昇率の男女比較では、最大垂直分力が15歳以降、床反力上昇率が13歳以降に有意な差が認められた。18歳を基準とした12歳男子の動作時間の相対値は100%、最大垂直分力が76%、床反力上昇率が75%であった。これらの結果は、全身反応動作における素早い動作を完了させることを目的とした動作が同時に発揮される床反力に比較して早期に発達を終了することを示唆している。なお、神経系については男女とも極めて類似した発達過程を示すが、筋出力系については13歳以降に男女で異なる発達過程を示すことが認められた。
- 三重大学の論文
著者
-
矢部 京之助
名古屋大学総合保健体育科学センター
-
脇田 裕久
三重大学教育学部
-
矢部 京之助
名古屋大学
-
八木 規夫
三重大学教育学部
-
後藤 洋子
三重大 教育
-
後藤 洋子
三重大学教育学部保健体育講座
-
八木 規夫
三重大学 教育学部
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