「動作前Silent Pointの出現率について」 : 第4報指示条件のちがいについて

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主動筋に軽度の随意的な緊張を与えた状態から急速に反応動作をおこすと、動作に先行して主動筋にSilent Periodが出現する。本実験は、肘関節伸展動作を用いて、被検者が光刺激に対してできるだけ動作開始時間を短縮するように努力した場合（速条件）と、できるだけ筋収縮速度を増大するように努めた場合（強条件）を比較し、これらの指示条件の違いが、動作前Silent Period出現に与える影響を究明しようとした。本実験結果は、次のようである。　1) subj.Shi.を除く5名の被検者の動作開始時間は、強条件に比較して、速条件の値が短縮しており、4名の被検者に1％水準で有意な差が認められた。また、全被検者の動作開始時間の平均値は、強条件で173msec（S.D. 14.1msec）、速条件で159msec（S.D. 16.6msec）であり、両条件間に1％水準で有意な差が認められた。　2) subj ShiとKon.を除く4名の被検者の単位時間当たり筋力上昇率は、速条件に比較して強条件の値が大きく、いずれも1％水準で有意な差が認められた。また、全被検者の単位時間当たり筋力上昇率の平均値は、強条件で256kg/sec(S.D. 79.9kg/sec)、速条件で210kg/sec(S.D. 49.1kg/sec)であり、両条件間に1％水準で有意な差が認められた。　3) subj. Shi.を除く5名の被検者のComplete P.S.P.出現率は、速条件に比較して強条件の値が大きかった。全被検者のComplete P.S.P.出現率の平均値は、強条件で26.0％（S.D.　27.78％）、速条件で10.2％（S.D.　8.06％）であり、両条件間に有意な差が認められなかった。　4) subj. Muk.とShi.を除く4名の被検者のIncomplete P.S.P.出現率は、速条件に比較して強条件の値が大きかった。全被検者のIncomplete P.S.P.出現率の平均値は、強条件で27.3％（S.D. 17.19%）、速条件で16.3％（S.D. 10.28%）であり、両条件間に有意な差が認められなかった。　これらの結果は、被検者が動作開始時間を短縮することに注目して、alpha-gammma系から急速なalpha運動経路のみの筋収縮に切り換えられない場合には、動作前Silent Pereodの出現が著しく抑制されることを示唆している。
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