飼料資源としての有用木本植物の検索とその飼料化に関する基礎的研究 : 第 2 報 アカメガシワ (Mallotus japonicus Muell-Arg) の生産に及ぼす窒素肥料の施用効果(附属熱帯農学研究施設)
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概要
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南西諸島においては,野生のアカメガシワの樹葉は家畜の飼料供給源として,これまで慣行的に利用されてきた。しかしながらそれは,現存量を利用する形態であるため種々の問題を有している。そこで本試験ではアカメガシワの有効な活用を目的に窒素肥料の施用試験を実施した。アカメガシワは施肥することにより潜在的な生産能力を大きく発揮し,乾物生産量,蛋白質収量の増加,また蛋白質含有量の上昇と,質的,量的な生産力の向上を図ることが可能であることが明らかになった。将来の飼料資源の素材のひとつとして検討する価値があるものと考えられる。結果の大要は以下の通りである。1. 乾物収量 アカメガシワは施肥窒素に対し強い反応を示し,窒素の供給量に応じて乾物収量は著しく増大する傾向を示した。2. 刈り取り回数 1989年10月〜90年9月の間に4回の刈り取りを行ったが,アカメガシワを幼植物より養成し,生長点数の多い再生に有利な形に仕立てた場合には刈り取り毎の収量は多回刈にもかかわらず増大傾向を示し,正常な再生状態であった。3. 葉量割合 アカメガシワの収量は葉が枝よりも高くなり飼料資源として有利な結果を示したが,葉量割合(葉/総量)は窒素増施と生育経過の影響が強く現れ,窒素供給量の増加と刈り取りを重ねる毎にその割合は次第に低下した。4. 窒素含有量 アカメガシワの窒素含有率は窒素水準間の差がほとんどなく近似した数値を示した。刈り取り期毎の窒素含有率は季節的には9月と10月の秋期に若干高まる傾向が認められた。葉と枝の窒素含有率はいずれの処理間でも葉は枝に比べて常に2〜3倍以上高く,明らかな差が認められた。5. 葉面積 各窒素水準間の乾物1g当りの葉面積は大きな変化を示さなかったが,アカメガシワの1本当りの葉面積と葉面積指数は窒素施用量の影響が強く現れ,窒素供給量に応じて著しく大きくなった。6. 粗蛋白質収量 各窒素水準間のアカメガシワの窒素含有率は大差がなかったが,窒素増施が乾物収量の増大をもたらした結果,各窒素水準間の粗蛋白質収量は著しく拡大した。
- 1991-12-04
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