南西諸島における熱帯イネ科牧草の導入と栽培 (I) : 有望 5 草種の比較について(農学部付属熱帯農学研究施設)
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概要
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南西諸島における熱帯イネ科牧草の適草種・品種を選定するために有望と思われる熱帯イネ科牧草の5草種(ローズグラス, ギニアグラス, グリーンパニック, セタリア, バッフェル)の乾物生産性と季節生産性について比較検討した。その結果, 年間の乾物生産量は5草種のなかで, セタリアが最も大きく10a当り2230kg, 以下, ローズグラス1790kg, ギニアグラス1690kg, グリーンパニック1590kg, バッフェル1410kgであった。セタリアとギニアグラスは株がよく分けつして植生密度の高い安定した草地を形成した。両草種は永続性も認められ, 南西諸島における永年草地の牧草として主要な役割を果すものと考えられた。ローズグラスは初期生育が極めて良く, 1年目の乾物収量は最も高くなったが, 試験期間の後半になると枯死株を生じて植生密度が低くなり, 4年目の乾物収量は5草種のなかで4番目に低下した。このことからローズグラスは永年草地における草種としては永続性に問題があると考えられた。グリーンパニックとバッフェルは株の分けつも少なく, 栽培が長期間になると枯死株が多数発生して植生密度が低下し, 雑草の侵入を容易に許すなど, 草地の衰退が顕著であった。供試した5草種の生産性の季節変化は大きく, 5月から9月までの生育条件の良い高温時に生産が促進され, 逆に低温時の10月から2月には著しく停滞した。季節生産性の最も大きい6月の1日当りの5草種平均の乾物生産量はm^2当り9.27gであったが, 最少の2月は2.13gで, 6月の乾物生産量の1/4以下であった。
- 琉球大学の論文
- 1989-12-05
著者
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