草地による環境保全技術の確立 : 第 1 報 環境保全のための適草種の選定と草地造成時におけるリン酸施肥の効果
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概要
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草地により環境保全を図るための適草種の選定と草地造成にあたってのリン酸施肥の効果を知る目的の試験を行って次のような結果を得た。(1)牧草の初期生育に及ぼすリン酸施肥の影響は明瞭に現れ, 無肥区の生育は少肥区, 多肥区に比べ著しく劣った。しかしこの初期生育の差は牧草が定着するに従い, 小さくなった。1年目には明瞭だった草丈の差は2年目には見られなくなった。(2)乾物収量に及ぼすリン酸施肥の効果は草丈と同様に1年目の初期に大きく, その後に小さくなったが, 年間を通じて多収となり多肥区>少肥区>無肥区の順であった。そしてこの効果は2年目にも残効として働き, 多肥区, 少肥区の収量が無肥区に優った。(3)ローズグラスは2年目を経過した時点で急激に草地の密度が低下し, 環境保全の目的には適さない草種と思われた。ギニアグラス, セタリアグラスは共に高い密度を維持し, この目的の適草種と思われた。リン酸施肥は草地の密度維持の上にも効果を示した。(4)リン酸の施肥水準は植物体内のリン酸含有率に明瞭に反映され, いずれの草種, 年次においても多肥区>少肥区>無肥区の順であった。2年目にはリン酸含有率のレベルの若干の低下があったが, 施肥の効果は明らかに残っており, いずれの施肥区も高いリン酸含有率を示し, 残効の存在を立証した。
- 琉球大学の論文
- 1997-12-01
著者
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