低温低速オーブンを用いたイワシの調理(III) : 骨の軟化に及ぼす調理液(水,酢,茶)の影響
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概要
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イワシの魚油に含まれる高度不飽和脂肪酸であるイコサペンタエン酸(IPA)は,血栓症や動脈硬化を基盤として発生する疾患の予防,治療に試され,その効果が期待されている脂肪酸のひとつである。また,イワシは調理法を工夫することによって有用なカルシウム源にもなり得る。しかし,鮮度低下の速さ,生臭さ,身崩れのしやすさの点から,大量調理には利用しにくい魚でもある。そこで我々は,低温低速オーブソ(Radiant Heat Oven)を用いて,「集団給食としてのイワシの調理」について,実験を重ねている。前回の実験では,調理液の違いがイワシの骨の軟化に及ぼす影響を検討するため,調理液として水,白ワイン(やや甘口で原液),茶(緑茶葉2%浸出波)を用いて,120℃で12時間,90℃で10時間連続して調理し,3,6,12,22時間後の骨の硬さを測定した。その結果,骨は6〜12時間のあいだで急激に軟化をおこすことが明らかとなった。しかし,6〜12時間のあいだの変化についての測定値はなく,推定にとどまっている。また,骨の軟化は,身を包み込んでいる身の変化とともに起こる現象であると考えられる。調理液の違いはまず身を変化させて,さらに骨の軟化にも影響を及ぼすものと思われる。そこで本研究では,6〜12時間のあいだの骨の変化を明らかにするとともに,「身付き」のイワシに加え,調理が骨に直接作用する「骨のみ」で実験を行い,身がついていることが骨にどのように影響するか検討した。
- 東京家政学院大学の論文
- 1993-07-31
著者
-
羽田 明子
東京家政学院大学家政学部家政学科
-
高橋 志保
東京家政学院大学
-
中村 アツコ
東京家政学院大学家政学部家政学科化学研究室
-
中村 アツコ
東京家政学院大学
-
中村 アツコ
東京家政学院大学家政学部
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