音楽の授業における楽しさについての一考察 : 創作活動の実践分析を通して
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概要
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ことばと動きと音を結合させた創作活動の実践から, 楽しさの現れ出る場の要因を考えてみることにした。そのために知的障害が比較的軽度な生徒に「絵本から音楽を作ろう」という実践に取り組ませた。そして, 彼らが楽しそうに笑ったり活発に活動した場面に注目して, 1.それはどのような場面で起ったのか, 2.その場を実現させた要因は何か, 3.この場面を経て活動はどのように変わったのか, という視点より分析した。1.に関しては, ①人に依存していたのが自分独自の表現を出せた場面, ②仲間とコミュニケーションを成立させて活動できた場面で笑いが起った。2.に関しては, ①仲間や友人としての支え, ②許容的で解放的な雰囲気, ③自信, ④変化や共存への欲求ということが, 楽しさを実現させる要因として浮かび上がってきた。3.に関しては, ①自分の表現を開発する, ②仲間との共存意識の発生と発達という形で, 活動に変化が現れた。The purpose of this study is to clarify the factors of the situations where the children express their pleasure through a practice of music-making with speech, movement and sound. In order to investigate the above, music-making is planned in a class of children with light intellectual disability. And there were some noteworthy situations where the children laughed happily and practiced lively. So I analyzed them from the following view-points. 1.In what situation did they practice like that? 2.what are the factors? 3.How did their practice change through these experiences? The Analysis leads the following. As for view point 1: ①In the situation where he could express himself communicating with other children. As for view point 2: ①Supports from his friends and classmates (His friend's expression becomes the hint when he makes expression and expresses himself independently. His friends admire what he created, expect him more and admit him as a classmate.) ②Being in a free and approving atmosphere (The practice without jufgement <right or wrong> and interferance by the teacher.) ③Self-confidence (He could express himself using his favorite media and get admiration from his friends.) As for view point 3: ①Development of his own expression (He created his own expression. He could express himself using the media he was not good at. He could add some change to his own expression.) ②Consciousness of coexistence (He expressed himself lively communicating with other children through sound and speech.)
- 大阪教育大学の論文
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