Phytophthora castaneae の卵胞子形成過程における微細構造とステロールの有無(農学部門)
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概要
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クリ疫病菌Phytophthora castaneae CCT 691は, 先に報告した多量形成培養法において, ステロールの存在しない場合にも多量の有***官を形成するようになる。この有***官は外形的には, ステロールの存在する場合のものと, 大きな差異はないが, その内容には相当の違いがある。すなわち, ステロール欠蔵卵器は細胞質が粗雑で, 四酸化オスミウム染色性の不定形の大きな顆粒を含むのに対し, 有ステロール蔵卵器は, 細胞質は細密で, 全体が均一なオスミウム染色性を示し, 成熟卵胞子が形成される。この様相の違いは電子顕微鏡で観察するとさらに明瞭である。すなわち, ステロール欠蔵卵器内においても, 核, ミトコンドリア, ER, 脂質顆粒などはほぼ正常に存在し, 蔵卵器に特有の好オスミウム胞も認められたが, 有ステロール蔵卵器において次第に形成されてくるリソゾーム様胞嚢が, ステロール欠蔵卵器では形成されず, そのかわりに, かつて報告した, ステロール欠遊走子嚢で観察されたと同様のがらくた胞や, その内部にみられた不完全小胞群が細胞質の中に散在していた。ステロール欠蔵卵器では, 後期になっても, 卵胞子は形成されず, 好オスミウム胞は次第に融合して, 巨大な塊を形成するようになる。これが光学顕微鏡でみられたオスミウム濃染顆粒に相当するものであろう。このように, 疫病菌にあっては, ステロールは, 正常な卵胞子を形成するためにも必須の物質であると思われる。
- 京都府立大学の論文
- 1982-11-20
著者
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