Phyllosticta Cryptotaeniae Sawada により起るミツバの円形葉枯病(農学部門)
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概要
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本学構内において発生を認めたミツバ円形葉枯病病原菌について若干の研究を行なったので, ここに報告する。本菌はミツバ葉に円形の黄褐色ないしは黒褐色の病斑を生じ, 葉肉組織中に黄褐色, 扁球形ないし球形, 大きさ平均111.7×97.0μの柄子殻を形成し, やがてその内部に多数の柄胞子を生ずる。柄胞子は無色, 楕円形ないし長楕円形, 単胞で大きさ平均4.8×2.0μを有する。これら病徴および形態からPhyllosticta Cryptotaeniae Sawadaと推定される。本菌の生育は, ジャガイモ, ミツバ両煎汁寒天培地並びにツアペック寒天培地において良好であり, トウモロコシ, アンズ各煎汁寒天培地では生育が劣った。菌糸の生育適温は24∿26℃, 34℃ではまったく菌糸の伸長はみられなかった。柄胞子の発芽適温は24℃前後であり, 34℃以上および6℃以下では発芽は認められなかった。胞子の生存最高限界温度は42∿44℃(1時間処理)の間にあり, 低温の場合, 0℃に12日間置いてもなお発芽能力を保有していた。菌糸の生育に適する水素イオン濃度はpH 7附近とみられるが, pH 9以上およびpH 3以下においてもかなりの生育を示した。また光の及ぼす影響については, 暗所より明所において生育は良好であった。柄胞子の発芽は蒸留水中に比較してミツバ葉上および同葉煎汁中においてわずかに促進された。
- 京都府立大学の論文
- 1964-09-01
著者
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