Phytophthora capsici の遊走子嚢における遊走子放出の原動力としての微小管の関与(農学部門)
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概要
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一般に疫病菌(Phytophthora)の遊走子嚢から遊走子が放出される間接発芽は, その原動力が膨圧によると考えられている。しかし, 遊走子塊がすべて放出された後でも, 残存する顆粒が引続き放出される現象が観察されるなど, 膨圧説には納得できない面がある。その上, グルコースやサッカロースと異なり, 代謝されにくい糖であるソルビットや2-デオキシグルコースの場合, 明らかに高張液中において遊走子の放出が認められ, 膨圧説の根拠にも疑問を生じた。また, 各種代謝阻害剤を用いた実験から, 間接発芽は新たなmRNAによるたんぱく合成と多量の呼吸エネルギー消費を伴なう活発な細胞活動であることが予想され, かつ, 微小管阻害剤, とくにビンブラスチン阻害を強く受けることから, 微小管の関与も考えられた。実際, 走査型および透過型電子顕微鏡観察により, 遊走子嚢細胞壁内面と遊走子細胞膜との間に微小管ないしはその関連構造からなると思われる紐状網目構造体の存在が認められ, さらに, ブタ脳たんぱくのチューブリン分画を抗原としたFITC螢光抗体法により, それらの構造体の存在する位置に強い螢光を確認できた。以上のことより, 遊走子嚢の間接発芽には微小管メカノケミカル系が関与している可能性が高いと思われる。
- 京都府立大学の論文
- 1981-11-20
著者
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