連想表現と分身エージェントを用いたコミュニティにおける知識共有支援
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概要
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本論文では, 連想表現を用いて個人の記憶を外化記憶として外在化し, 分身エージェントを用いて外化記憶をネットワーク上のコミュニティで共有する手法を提案する.連想表現は, 情報間に単に関連があることだけを記述し, その関連の意味づけを厳密には定義しない情報表現である.分身エージェントは, 個人の外化記憶を保持し, 個人に代わって他人や他の分身エージェントに公開する機能をもつエージェントである.提案手法をコミュニティ知識共有支援システムCoMeMoCommunityとして実装した.本システムでは, コミュニティ内で公開された外化記憶(コミュニティ記憶)を閲覧・把握するために, 擬似会話および連想木・相関表示を用いて外化記憶間の関係を視覚化する.擬似会話は, 分身エージェント間で擬似的な会話をすることにより, 保持する外化記憶の断片を連想表現を用いてつなぎ, 個々の外化記憶間の直接関係を視覚化する.各メンバは, 擬似会話を閲覧することにより, 自分の属するコミュニティあるいは未知のコミュニティの各メンバのもつ関心事や知識の概要と相互関係を把握できる.連想木表示は, コミュニティ記憶のつながりを木構造を用いて表示し, 体系的に捉えることを支援する.相関表示は, コミュニティ記憶およびメンバ間の相対的な関係の把握を支援する.本システムの評価をするために, 情報科学専攻の博士前期課程学生45名に, 自分の興味や関心を外化記憶として記述し, 相互に閲覧しながら自分の外化記憶を発展させていく公開型知識共有実験を27日間実施した.実験の結果, 以下の3点について知見を得た.(a)知識の共同構築:他のメンバが公開した情報をもとに, 新たな情報を関連付けて公開していた.(b)公開情報の拡散効果:連想を用いて複数のメンバから複数の情報を引き出した.特に, 外化記憶を相互に公開し, 関連付けあうことが知識の活性化に有効であることがわかった.(c)新たな人間関係の発見:システムを通じて共通の趣味がわかり新たな人間形成を支援した.
- 人工知能学会の論文
- 2001-03-01
著者
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村上 晴美
大阪市立大学大学院創造都市研究科
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西田 豊明
東京大学大学院情報理工学系研究科
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平田 高志
奈良先端科学技術大学院大学情報科学研究科
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村上 晴美
大阪市立大学 大学院 創造都市研究科
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村上 晴美
大阪市立大学
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平田 高志
奈良先端科学技術大学院大学 情報科学研究科
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西田 豊明
東京大学大学院 電子情報学専攻
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