醤油の色の酸化褐変
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
(1) 醤油の色は酸化により暗い色調になるのは,明るい色調を示す色素成分が暗い色素成分に変化するためであり,色素成分の変化は分子量の増加,恐らく重合によっておこると考えられた. (2) 酸化により色素成分が変化する性質を利用して,各色素成分の分画を行なった.分離された各色素成分は,高分子化するに従ってΔAが低くなり,〓 E450値は高い数値を示した.またP1以外レダクトンに認められず,糖,アミノ酸含量は各成分ともほぼ同じ数値を示した.さらにIR吸収のパターンも,各成分ともよく似ていた.しかしながら,元素分析は各々異なる数値を示した. (3) グリシンーキシロース系メラノイジンの各色素成分を標準物質として,Sephadex G-25, G-50より測定した醤油の色素成分の推定分子量はP1=600, P2=850, P3=1100, P4=1600, P5=2900, P6=2950, P7=3470, P8=4270であった. (4) Kdとlog 〓 E450の間に直線関係が見い出され,従つてlog molecular weifight(M)とlog 〓E450(E)の間にも直線関係が認められ,醤油の色もモデル系メラノイジン同様E=kMαの式に従うことを明らかにした.醤油の色の関係式は,E=4.47×10-4×M1.30と算出された.醤油の色において酸化に対して安定なメラノイジンは,ジペプチドおよびトリペプチド起因のメラノイジンであり,このメラノイジンが醤油の色の主要褐変物質であることをα値より推定した. (5) 醤油の色の酸化に対する挙動,および酸化により生成された色素成分の諸性質は,モデル系メラノイジンのそれとなんら差異が認められず,醤油の色はおもにアミノカルボニル反応により生成されることが強く示唆される. (6) 以上の結果,醤油の色は酸化により高分子化し,高分子化することによって醤油の色が増加し,暗い色調になり,その増色は E=4.47×10-4×M1.30 (1) (1) 式に従っておきると推定した.
- 社団法人 日本農芸化学会の論文
著者
関連論文
- 462 アフィニティクロマトによる生(なま)醤油からの酸性プロテアーゼの採取
- 681 アルカリプロテアーゼ遺伝子プロモーターを用いたAspergillus oryzaeにおける大腸菌β-グルクロニダーゼの発現
- 679 組み換えDNA法によるAspergillus oryzaeアルカリプロテアーゼの高発現
- 305 麹菌由来アルカリプロテアーゼの機能変換
- 644 Aspergillus oryzae由来アルカリプロテアーゼ遺伝子のクローニング
- 112 Aspergillus oryzae由来アルカリプロテアーゼの枯草菌による分泌発現
- 111 Aspergillus oryzae由来アルカリプロテアーゼcDNAのSaccharomyces cerevisiaeにおける分泌発現
- Aspergillus oryzaeのアルカリプロテアーゼcDNAのクローニング(微生物-クローニング-)
- 納豆菌Bacillus subtilis natto NR-1株γ-glutamyl-transpeptidase遺伝子のクローニング : 微生物
- Aspergillus oryzaeの連続培養によるプロテアーゼの生産 : 菌糸の形態変化に伴う撹拌に対する抵抗力の変化
- 659 麹菌連続培養のスケールアップにおいて攪拌周速度がプロテアーゼ生産に及ぼす影響
- 658 耐塩性麹菌によるプロテアーゼの連続生産 第6報 : 炭素源律速連続培養での菌糸の形態変化と、攪はん及び酸素毒性に対する抵抗力の関係
- 耐塩性麹菌によるプロテアーゼの連続生産 第5報 油脂の効果について(微生物-醗酵生産-)
- 561 耐塩性麹菌の液体連続培養におけるプロテアーゼ生産活性に影響を及ぼす因子について
- 560 耐塩性麹菌によるプロテアーゼの連続生産 : Carbon-limited chemostat cultureによる培養条件と酵素組成について
- 醤油中のN-ニトロソアミン生成抑制物質
- 醤油製麹工程への連続液体培養の応用
- 236 バイオリアクターによる醤油様調味液の生産
- 562 醤油酵母Zygosaccharomyces rouxiiの連続培養
- 114 調味液醸造へのバイオリアクターの利用
- 大豆,小麦原料の醤油の色生成に対する寄与
- 136 醤油の色について : 色の性質と色素の分離
- 443 Candida famataの産生する耐塩性グルタミナーゼについて
- 固定化醤油酵母による連続発酵(Air-lift型)(生物化学工学-固定化微生物, 培養工学-)
- 高速ゲル濾過による醤油醸造工程中の"N性物質"定量法
- 固定化バイオリアクタ-による醤油様調味液の製造
- 醤油火入おりの凝集沈降に関する物理化学的解析
- 醤油の色の酸化褐変
- 味噌の色について
- 醤油の色の性質と色素成分の分離
- 醤油の褐変
- 醤油火入れおりの沈降に及ぼす麹菌由来の各種酵素タンパク質の寄与
- 醤油醸造にバイオリアクターの利用は可能か