醤油の色の性質と色素成分の分離
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概要
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(1)醤油およびモデル系メラノイジンの色の分布は, log absorbanceと波長の間に直線関係のあることが認められ,100mμ当りのlog absorbanceの変化(ΔAと称す)を,色調を表わすパラメーターとして用いた.すなわち, ΔAが大きければ明るい色,小さければ暗い色を示すことになる. (2)醤油の色は酸化によりΔAが小さくなり,従って暗い色に,加熱,熟成によりΔAが大になり,従って明るい色になった.モデル系メラノイジンの色も,酸化,加熱した場合,ほぼ同様な変化が認められた. (3)醤油の色をSephadex G-15, DEAE-celluloseで分画を行ない, 8つの色素区分(P1〜P8と称する)を得た.各色素区分は,溶出順にだんだん暗い色調を示した. (4)醤油の色は加熱した場合,明るい色素が増加し,従って明るい色に,酸化した場合,明るい色素が減少,暗い色素が増加し,暗い色になった.この際,各色素区分のΔAは変化せず,各区分固有のものと考えられ,色調は各色素区分の量的変化によるものと推察した.モデル系メラノイジンを酸化した場合,醤油の色を酸化した場合と同様の色素区分の量的変化が認められた.
- 社団法人 日本農芸化学会の論文
著者
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井上 進
キッコーマン醤油 関西工場 研究課
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茂田井 宏
キッコーマン醤油 関西工場 研究課
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茂田 井宏
キッコーマン醤油株式会社関西工場研究課
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西沢 嘉彦
キッコーマン醤油株式会社関西工場研究課
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茂田 井宏
キッコーマン株式会社中央研究所
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