カキ果実の利用に関する研究 (第3報) : カキ果の貯蔵温度について
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概要
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カキ果の貯蔵性ならびに品質に及ぼす貯蔵温度の影響を調べ,果実を有利に貯蔵し得る適温と貯蔵限界を知るために,平核無と富有の両品種について室温,50°C,0°C,-15°Cの各温度で貯蔵試験を行なつた。なお,同時にポリエチレン袋(0.02mm)による包装の効果についても調査した。 1. 軟化,重量減ならびにしわの出現,腐敗などは室温区が最も速かで,果実中の糖,酸,ビタミンC含量も貯蔵温度の高いものほど減少度は大きい。しかしたとえ-15°Cに貯蔵しても,長期間の貯蔵中僅かながらそれらの減少が認められた。なお興味あることは,室温,5°C,-15°Cに貯蔵したものは,貯蔵中可溶性タンニンの減少がみられたが,0°Cに貯蔵したものの減少が非常に少ないことであつた。 2. ポリエチレン袋詰めの果実はしわも殆んど認められず,貯蔵6カ月後でも重量減は僅かに1%前後であった。ただし袋内の酸素および炭酸ガスの濃度は,袋の透気性により大気組成と殆んど変らず,本実験に用いた程度の薄い袋では,追熟に関しては無処理と大差なかつた。 3. 肉質および腐敗より判断しての各温度における経済限界は大体次のようである。 平核無:室温で1カ月,5°Cで1〜2カ月,0°Cで2〜3カ月,-15°Cでは周年。富有:室温で2カ月,5°Cで2〜3カ月,0°Cで3〜4カ月,-15°Cでは周年。 4. 平核無は肉質,含糖量,無核,凍結中の脱渋などの性質から,-15°C或いはそれ以下の温度に貯蔵するのが適し,富有は品質上0°Cが貯蔵最適温度と考えられた。
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